徳島

一宮城(徳島県徳島市)|輝く緑色片岩の石垣、遍路道が誘う尾根

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W2 ★★☆

山城ウェルネス

山城ACTレベルの設定理由
比高は110〜120mほどで、登城道は整備された山道が中心です。長い急登が連続するタイプではなく、低山ハイクの延長で歩ける負荷です。足元に注意が必要な箇所はあるものの、全体としては中級(★★☆)に収まる範囲と判断しました。

山城Wレベルの設定理由
主郭石垣・釜床跡・遍路道・陰滝までを一筆書きで巡れる構成です。森の静けさと遺構の間合いがほどよく切り替わり、歩行中の集中が保ちやすい印象です。深い没入一辺倒ではなく、安定した「静かな充実」が続くためW2(★★☆)としました。

主なルート
・大日寺裏登山口〜主郭(往復 約1時間30分)
・主郭〜陰滝〜貯水池周回(主郭往復+30分程度)

累積標高差と所要時間
所要時間:写真撮影を含めて約2時間(主郭往復+周回分の目安)

地形の特徴
尾根と谷が短い間隔で切り替わる構造で、主郭周辺に石垣と段状地形がまとまっています。

アクセス・駐車場

  • 登山口
    • 四国八十八箇所霊場第十三番札所「大日寺」裏手の登山口から入山。
    • 大日寺の境内・周辺に駐車スペースがあり、準備を整えてから登り始められます。
  • 駐車場
    • 大日寺境内・周辺に参拝者用駐車場あり。
    • 山城だけでなく寺参拝も兼ねる前提で、午前中の早い時間帯に訪れると落ち着いて駐車しやすいです。

現地レポート|ルートと見どころ

今回のルート

一宮城周辺の地形と今回の登城ルートを示した図
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能)

縄張り図 現地看板

一宮城縄張り図が描かれた現地案内看板

四国八十八箇所霊場第十三番 大日寺

四国八十八箇所霊場第十三番 大日寺の本堂外観
大日寺境内の参道と建物の様子

宿坊と大規模お食事処を備える大寺院。なんせ、「阿波国一宮」。立派なはずです。

山城Q
山城Q

いつかは、「歩き遍路」をしたいと
虎視眈々とタイミングを図っています

現地レポート

そんな有名寺院の裏に、一宮城の登り口があります。

大日寺裏手にある一宮城登城口の案内板と入口

軽くトイレも済ませられます

一宮城登城道入口付近の石段と道標

経筒出土地とのこと。お寺の敷地に近いならでは。

経筒出土地を示す石碑と周辺の様子

なんせか、この道が歩きにくい歩きにくい。歩幅を合わせると前に進まないので、一個飛ばしで進みます。

歩幅の合わない石段が続く登城道の様子

この徳島県は、岩石が特徴的で

山城Q
山城Q

泥質片岩

特に、「阿波青石」や「緑石」とか言われる。キレイな「緑色片岩」が徳島市周辺などにあります。

倉庫跡

一宮城倉庫跡の窪地と案内板

「今でも炭化した米が出る」とか言われると、靴で地面を蹴って軽く穴を掘る感じになります。もちろん、何も出ませんでしたが。

眺望

一宮地区を見下ろす城内からの眺望

一宮地区が見えます。まずまずの見晴らしですね

第一の曲輪に到着

第一の曲輪の平坦地と周囲の斜面
段郭が連なる第一の曲輪周辺の様子

段郭と平坦地を確認

第一の曲輪から見た斜面と曲輪の段差

(中間分岐点)明神丸と才蔵丸 防衛ライン

明神丸と才蔵丸方面へ続く登り階段

特に何も考えずに、

「階段の先が見えた」

程度に思って登っているとはっと気が付きました

一宮城の明神丸・才蔵丸・主郭周辺の配置図
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能)
山城Q
山城Q

キルゾーンに立ってますよ

ここは、明神丸と才蔵丸からの攻撃を受けやすい場所でした。油断は出来ない。

堀切を通路として利用している防御ラインの様子

堀切を道として使っており、ここが最大の防御拠点となっております。

才蔵丸側の虎口付近の地形

まさに虎口。。。ここが最大の防御拠点でした。この先に才蔵丸があります。

大手門跡に到着

一宮城大手門跡の石垣と通路
大手門跡周辺の石垣と曲輪

井戸跡を確認

一宮城井戸跡の窪地と案内

眺望

井戸跡付近から望む徳島平野の景色

さっきよりも標高が高くなりました。名西地区まで見えるのかな。

徳島を代表する主郭に到着

一宮城主郭部の石垣と平坦地
主郭内の祠と石垣の様子
主郭内部の広い平坦地と周囲の土塁
山城Q
山城Q

見事に組まれています

この登り口が特徴的です。通常、このように帯曲輪の延長上に付けず、側面に折れがついてあったりしますが、ここは一直線です。何か神社の参道のような雰囲気があります。

主郭へ一直線に伸びる石段と帯曲輪の様子
主郭部石垣のクローズアップ写真

形としては、変形五角形という感じ。岩石は、阿波青石ではなく、普通の泥質片岩の野面積み

主郭石垣の角部分と積み方の詳細
主郭石垣の法面と斜面の様子

この急こう配!直線に設置しているので、急こう配にして突撃されにくくしているのでしょう。しかし、先にも書きましたが、いくら急こう配と言っても、こうも一直線に作るものなのでしょうか。

過去の経験からは、主郭に通じる道は、あえて脇に付けられたり、折れが付けられたりしています。

防御の点からも少し疑問を感じます。先に祠があったりするので、参道として後世に改変されたとか、そんな気もします。登り口は実は裏側だけだったとか。

主郭へと続く急こう配の石段を下から見上げた様子

主郭部は広い。

珍しい遺構 釜床跡

一宮城主郭内に残る釜床跡の石組遺構

これは、他では見たことがありません。400年前のカマドってことですよね。一体どのような台所だったのでしょうか。ちなみに、似たような遺構を岐阜県土岐市の妻木城跡の太鼓櫓で見たことがあります。カマドかどうは不明ですが。

その先は、急に人の出入りもなさげ

一宮城主郭から陰滝方面へのルートを示した図
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能)
主郭から先の藪が深くなった山道の様子
貯水池方面へ下る分岐付近の山道

遍路道に組み込まれている

遍路道の道標と山道の様子

これが重要なんです。道に組み込むことが。最新の観光では、その土地どちのアクティビティを体験することが大事なのですが、いくら最高の体験場があっても、人が来ないと意味がないわけです。九州では、「オルレ」というものがあり、巧みにお城を取り込み観光ルートとしております。

貯水池へ下る途中の山道と樹林の様子

この先の藪化が凄いので、貯水池へ下りました

そして、陰滝(いんたき)へ

陰滝へ向かう谷筋の様子
陰滝周辺の岩場と流れ
陰滝付近に祀られたお地蔵さん

遍路道によくあるお地蔵さん

鎖場があります

陰滝へ向かう途中にある鎖場の岩場

ちょっと鎖場がありました。遍路道ですので、この瞬間は修行の場です。

鎖場を登り下りする岩場の全景

陰滝を下るが、ん???

陰滝下部の人工的な構造物と滝の様子
山城Q
山城Q

現場に行けば、必ず何か発見がある(MOTTO)

この城の概要

一宮城は、徳島県徳島市一宮町に位置する中世山城で、標高約144mの尾根上に築かれ、阿波国の一宮である大麻比古神社の守護城としても機能しました。

室町時代から戦国期にかけて在地領主や細川氏・三好氏の影響下にあり、主郭を中心に段郭・堀切・緑色片岩(阿波青石)の野面積み石垣が残る典型的な阿波山城です。

現在は続日本100名城(177番)に選定されており、大日寺裏から登る登山道で主郭や釜床跡などの遺構を巡ることができます。

この山城の魅力|3つのポイント

体験価値(ウェルネス)
大日寺・一宮神社を起点に山へ入る導線は静かで、歩くうちに呼吸と足取りが自然に整っていきます。登城そのものが、気持ちを切り替える時間として機能します。

遺構の固有性
本丸周辺には段々に配された曲輪と深い堀切が残り、その間に緑色片岩の石垣が立ち上がります。地形と石材が一体となった構成が、この城の輪郭をはっきり示しています。

景観・地形の固有性
標高144mの尾根上を進む登城路からは、鮎喰川を見下ろす視界が断続的に開けます。景色の変化が歩行のリズムをつくり、無理なく城域へ導かれます。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

温泉|徳島天然温泉 あらたえの湯(万代町)

  • 徳島市街地・万代町にある日帰り温泉施設で、大日寺からは車で約30〜40分ほどの距離です。
  • 泉質:ナトリウム―塩化物・炭酸水素塩温泉(低張性アルカリ性温泉)で、さっぱりとした入り心地が特徴です。
  • 内湯・露天風呂・サウナ・食事処が揃っており、低山ハイクのあとに「温泉+食事」でひと息つくのに向きます。

グルメ|徳島ラーメン「いのたに 本店」

  • 徳島市内中心部にある、徳島ラーメンの有名店のひとつ。徳島といえば、徳島ラーメン。
  • 豚骨醤油ベースのスープに生卵トッピングという、徳島らしい一杯を楽しめます。

名所|徳島中央公園(徳島城跡)

  • 徳島市街中心にある徳島城跡の公園。江戸期の藩庁が置かれた平山城で、現在は石垣や表御殿庭園などが整備されています。
  • 一宮城の「山城」と対になる存在として、「平野に下りた後の城」をセットで訪ねると、阿波の城郭史を立体的に感じることができます。

まとめ

  • 一宮城は、標高・比高ともに大きくないものの、明神丸・才蔵丸・大堀切・主郭石垣・釜床跡など、山城らしい要素がコンパクトに詰まった「中身の濃い低山ハイク」です。
  • 遍路道と一体になったルート構成により、「信仰の山」と「戦国の山」を同時に歩く体験が重なります。
  • 個人的にもっとも印象に残るのは、明神丸・才蔵丸ラインの堀切〜主郭石垣にかけての防御ラインと、主郭へ一直線に伸びる「参道のような登り口」。阿波らしい片岩の山肌とあわせて、「阿波の主役級山城」として記憶に残る一城だと思います。

主な出典

  • 国土地理院ウェブサイト(地形図・標高データ)
  • 本文中で紹介した各施設・団体の公式ウェブサイト

免責

本記事は、現地での観察メモをもとに整理し、筆者なりの解釈を加えた記録です。史実の正確性を保証するものではありません。また、整備状況・所要時間・交通手段・施設情報等は変更される可能性がありますので、訪問の際は必ず最新情報をご確認ください。

コメント