富山

増山城(富山県砺波市)|10m切岸、独立独歩の城郭群

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W3 ★★★

増山城と増山湖の風景

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
増山湖を見下ろしながら歩く登城路で、ゆるやかな登りと急な切岸が交互に現れることで、適度な緊張と安心が入れ替わる時間を味わえます。

② 遺構の固有性
大竪堀や高い切岸、独立性の高い曲輪群、南櫓台などが立体的に配置されており、攻防のイメージを現地で思い描きやすい山城です。

③ 景観・地形の固有性
和田川ダム湖と砺波平野を一望できる立地で、山深さと開放感の両方を感じられる「谷城+湖城」のような景観が広がります。

現地レポート|ルートと見どころ

増山城F郭と木柵の様子

「越中三大山城」というぐらいなので、

山城Q
山城Q

今回も、厳しい登城になりそうな予感

2009年に国の指定史跡になったばかりで、これから注目を集めることになるでしょう

増山城冠木門周辺の様子

立地そのものが難攻不落で増山湖というダム湖にある

冠木門から

増山城の冠木門の写真

このような立派な門があるとテンションあがりますね

増山城の登城道の様子

このルートは、七曲り坂とは違います。うわ~守りが固い。

増山城の石垣と切岸の様子

お、この感じは熊本の人吉城でも見たことがあります。

増山城の緩やかな登り坂

緩やかに登っていきます

大竪堀

増山城の大竪堀の様子

F郭に到着

増山城F郭と木柵の再現
増山城F郭周辺の高い切岸

F郭に到着。木柵が再現されており、雰囲気が出てます。

増山城F郭の広い曲輪

ここは広い空間があり、十分な兵が駐留できると思います。とにかく、切岸が高い高い。5mはあります。

展望

増山湖と周辺景観の展望

一の丸から頭上を見上げる

山城Q
山城Q

キルゾーンに立ってますよ

増山城一ノ丸周辺のキルゾーン図

この場所が城内でも有数のキルゾーンでしょう。一ノ丸を高い切岸が囲っています

増山城一ノ丸周辺の切岸
増山城一ノ丸曲輪内部の様子
増山城一ノ丸周辺の土塁
山城Q
山城Q

一の丸だけど、本丸ではなさそう(?)

この山城は、どの曲輪も独立性が高く、連携が難しい。ましてや、この一の丸は、矢面に立つので本丸には相応しくない立地にみえます。

そのまま気になるポイントへ

増山城から見える赤い橋

赤い橋が見えます。ということは周辺の見晴らしはかなり良いです

増山城の石垣と思われる斜面

石垣だそうですが、ちょっと確認できませんでした

増山城の高い切岸

どこも切岸が高いということです。当然、簡単には登ることが出来ません。

鐘槝堂(かねかしどう)から南櫓台を見る

山城Q
山城Q

個人的に、この南櫓台が面白いです

増山城南櫓台周辺の縄張図
増山城南櫓台の単郭曲輪

うわ、この単郭、、、面白い。。。ここは何かと思うと南櫓台跡とのこと

山城渡りQ
山城渡りQ

ちょっと降りてみよう

増山城南櫓台の残丘状曲輪

残丘様単曲輪!!横からも見てみる。わざわざ、掘り切ったように見えます。地続きでも良かったとも思いますが。ここが特徴の一つですね

二ノ丸 神水鉢

増山城二ノ丸の神水鉢

この山城の疑問点としては、

山城Q
山城Q

どこが本丸に当たるのか分からない

ということです。

一ノ丸といえど、最前線の曲輪のように見えるので、本来の本丸という意味ではないと思います。縄張り図的には、この二ノ丸が本丸に当たると思います(私見)。

増山城二ノ丸周辺の曲輪

鐘楼堂に登ってみると

増山城鐘楼堂の建物
山城Q
山城Q

ん!?

鐘楼堂から見下ろした斜面とはしご

お、何やらハシゴがあります

増山城の高い切岸とはしご場

なんという切岸の高さ。10mぐらいあるのではないでしょうか。登ったら、別の曲輪に行くことができそう。ちょっと、降りてハシゴを上がってみましょう

安室屋敷へハシゴ場

安室屋敷へ続くはしご場

これは、掘り下げてますよね。

はしご場周辺の斜面の様子

ハシゴと言っても、しっかり固定されていますし、問題なく登ることが出来ます。

しかし、国指定史跡となると、このままでは無理でしょうね。いずれ、撤去とかされてもおかしくはないですね。こういうのって、昨今の事故の元ですから

立派な土塁

増山城の高い土塁

登ってみると、立派な土塁があります。

土塁の先に三ノ丸と鐘楼堂跡が続く様子

この土塁の奥手には、三ノ丸があります。右手は、鐘楼堂跡

増山城の谷と高い切岸

これだけ独立性が高くなると、どのようにして行き来していたかが気になります。何か木橋とかを掛けていたのでしょうか。そうしないと、昇り降りだけでもたいへんです。

増山城の曲輪間の高低差と谷地形
周辺でも有数の高さを持つ切岸

周辺を見渡しても、本当に、ここは切岸が高いです。辺りでも有数の高さではないでしょうか。その分、各曲輪の独立性が高くなりすぎないか心配ですが。

神保夫人入水井戸

神保夫人入水井戸の石組み
神保夫人入水井戸周辺の様子

水は枯れていますが、各地に夫人の入水井戸はあります。

これは、、、

地面に落ちているBB弾
山城Q
山城Q

BB弾

ここで、サバゲーをした人間がいます。なんということだ。

アクセス・駐車場

登山口:
増山陣屋周辺から冠木門へ向かうルートが主な登城口になっています。ほかに七曲り坂方面など、いくつかのルートがあります。

駐車場:
増山陣屋付近に無料駐車場が整備されており、城跡散策の拠点として利用できます。トイレも併設されているため、登城前後の準備に便利です。

この城の概要

増山城は、富山県砺波市の丘陵上に築かれた中世の大規模山城で、守護代・神保氏の拠点として機能しました。戦国期には一向一揆勢や上杉氏との攻防の舞台となり、天正4年(1576年)に落城。

その後もしばらく使用され、現在は国指定史跡として保存されています。「越中三大山城」の一つであり、続日本100名城(No.135)にも選定されています。

山城ACTレベルと山城Wレベル

山城ACTレベル:中級 ★★☆
標高120m級の丘陵に築かれた山城ですが、城域全体を歩くと累積標高差は約200mとなり、アップダウンをしっかり感じます。
整備された遊歩道が多い一方で、急斜面や長い階段、はしご場も含まれ、中高年でも休憩をはさめば無理なく歩けるものの、散策以上の負荷感があります。

山城Wレベル:W3 ★★★
増山湖と砺波平野を見下ろす眺望と、森に包まれた静かな登城路が交互に現れ、場面ごとに没入感が切り替わっていきます。
大竪堀や高い切岸、南櫓台など印象的な遺構が次々に現れ、地形と構造を自分の足でたどる楽しさが続きます。
歩き終えたあとも情景が頭に残りやすく、山城ウェルネスとしては深まりのあるW3クラスと考えています。

主なルート

  • 増山陣屋周辺 → 冠木門 → F郭 → 一ノ丸・二ノ丸 → 南櫓台(全体をゆっくり巡って往復約2時間)

累積標高差と所要時間

累積標高差:約200m / 所要時間:約2時間(全体を一周・往復)

地形・地質のポイント

増山城は、砺波平野東縁に張り出した丘陵上に立地しており、西側の和田川とダム湖(増山湖)に挟まれた谷地形を天然の外堀として活用した構造になっています。

丘陵上には、急斜面や尾根筋を利用した郭・大竪堀・高い切岸が連続して配置され、「台地の縁を固める要害」として設計されている点が特徴です。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

・温泉
庄川清流温泉 となみ野庄川荘 一萬亭
砺波市庄川町にある温泉宿で、庄川沿いの静かな環境に立地しています。庄川清流温泉は、ナトリウムやカルシウムなどの成分を含む塩化物系の温泉として知られ、一般的には神経痛、冷え性、疲労回復などへの適応症が挙げられます(温泉法に基づく一般的な表示に準じます)。日帰り入浴プランもあり、露天風呂から庄川の景色を眺めながら、落ち着いた雰囲気の中で湯浴みを楽しめます。

・グルメ
庄川水記念公園 周辺の食事処
庄川水記念公園エリアには、庄川の流れを眺めながら、川魚料理や地元食材を使った家庭的な料理を提供する食事処があります。増山城から車でアクセスしやすく、「城歩き+川の景観+地元グルメ」という周遊コースを組み立てやすいスポットです。

・歴史名所
砺波市埋蔵文化財センター
砺波市埋蔵文化財センターでは、増山城跡から出土した遺物や増山城の模型が展示されており、城の全体像や歴史的背景をわかりやすく学ぶことができます。登城前に訪れると縄張図や郭の位置関係を頭に入れたうえで歩けるため、現地での理解が深まり、登城後に立ち寄れば「歩いたルートの復習」として楽しむこともできます。

まとめ

増山城は、「越中三大山城」の名にふさわしいスケールと防御力を備えた中世山城です。一方で、冠木門からF郭、一ノ丸、二ノ丸、南櫓台へと続くルートは整備が進んでおり、山城初心者から中級者までが段階的に楽しめる環境になっています。

増山湖と砺波平野を見渡す眺望、増山杉の森がつくる静けさ、複雑な縄張を自分の足でたどる行為そのものが、山城ウェルネスの体験価値を高めてくれます。歩くほどに城の全体像が頭の中で組み上がっていく感覚を味わいたい方に、ぜひおすすめしたい山城です。

免責

本記事は個人的な体験および公開資料に基づいて作成しており、効果や歴史を断定するものではありません。訪問の際は、最新の交通情報や現地の利用案内を必ずご確認ください。

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