佐賀

勝尾城(佐賀県鳥栖市)|館と山城が連なる、筑紫の城郭群

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W2 ★★☆

勝尾城のイメージ図

この山城の魅力|3つのポイント

体験価値(ウェルネス)
筑紫神社からじわじわ高度を上げ、花崗岩の巨岩が点在する山道を抜けて、最後に筑紫平野の大パノラマが開ける「登山+展望」の山城体験が楽しめます。

遺構の固有性
石段状の登城路やキルゾーンを形成する大手曲輪、主郭近くの二段石垣や大堀切など、「岩と斜面を生かした守り」がコンパクトに詰まっています。館跡(筑紫神社周辺)から山上の城跡まで一体で歩けるのも特徴です。

景観・地形の固有性
標高約501mの主郭からは筑紫平野と雲仙普賢岳を望む眺望が広がり、筑後川と平野を一望する稜線と花崗岩の岩塊斜面が、「地質の際」に築かれた城としての個性を際立たせています。

現地レポート|ルートと見どころ

勝尾城 登城口付近섭

筑紫神社から登る

筑紫神社の登りはじめ

早速の階段ですが、ここは筑紫氏の館跡。謙虚な気持ちで登ります。

登城路に現れる石垣

いきなりこの石垣が現れます。果たして後世のモノか、その時代のものか。古いような気もします。

登山道区間の様子

基本的に登山道ですの。この日は12月でしたのでかなり寒かったのですが、登り始めてすぐに熱くなりました。

削れた花崗岩の足元

雨の浸水とかもあってか、この花崗石はかなり削れています。

出丸から本丸を望む

途中の出丸から山頂を望む

途中の出城郭から山頂を望む。もう見えているし、近いです。でも当日は寒い。

同様の階段が続く登城路

ここにも、同じような階段があります。削れてますね。

大手曲輪の堅い守り

山城Q:キルゾーン(死地)に立ってますよ

大手曲輪の様子(1)
大手曲輪の様子(2)
大手曲輪の様子(3)

少し開けた!と思うと、そこは、大手曲輪でした。

正面攻撃を意識させる地点

この並びに、板壁とかあったのでしょうか。正面に向かって、攻撃を仕掛けられます。

岩石が多い区間(1)

途中もそうですが、岩石が豊富にあります。

岩石が多い区間(2)
岩石が多い区間(3)

山頂へ

お、開けてきました。山頂山頂!?

山頂部に近づく登城路

筑紫平野が一望できる開けた展望

山城Q:うわーーーー

筑紫平野の展望(1)

山城Q:絶景!

なんという展望!朝霧に包まれているけど、筑紫平野が一望です。なんか 立花山城 もそうでしたが、ものすごく近く見えます。

筑紫平野の展望(2)

雲仙普賢岳を望む

雲仙普賢岳方向の眺め

これは、島原の雲仙普賢岳ではないですか。近くに思えます。

石仏の発見ポイント

いくつかの石仏も発見。花崗岩だから掘りやすいのでしょうか。これは同じ一乗谷裏の山城でも見たことがあります。同じ共通点ですね。

登城路の風景(紅葉)

主郭は少し奥にあります

主郭方面への道
主郭近くの遺構

大堀切

大堀切の様子

勝尾城の二段石垣

二段石垣(1)
二段石垣(2)

この石垣、良いですね。苔の生え方も見栄えがあります。しかし、花崗岩という石垣に最適な岩が取れるのに、二段になっていますが、技術的なことでこれ以上積み上げることができなかったのでしょうか。

二ノ丸

二ノ丸の様子(1)
二ノ丸の様子(2)

やはり、この辺りの石垣?石積み?も小規模です。調べると「1586年に廃城」とありましたので、それほど石垣技術が使われなかったのかもしれません。いずれにしても、登山コースでもあり非常に楽しい山城でした。

山城ACTレベルと山城Wレベル

山城ACTレベル:中級 ★★☆
主郭は標高約501mの山頂部にあり、筑紫神社からの登城は明確に「山歩き」の要素があります。往復で約3時間(撮影・曲輪散策含む)を想定すると、体力配分も含めて中級相当です。後半まで勾配が続くため、一定のリズムで登る意識が重要になります。

山城Wレベル:W2 ★★☆
筑紫神社の静かな空気感から、登りでの集中、山頂での展望へと場の切り替わりがはっきりしています。森の中を歩いた先で一気に視界が開ける構成のため、没入感と解放感のメリハリが出やすい山城です。遺構も点在しており、歩行と観察が自然に交互に現れる流れになっています。

主なルート
・筑紫神社(登山口) → 出丸 → 大手曲輪 → 主郭(展望) → 大堀切 → 二段石垣 → 二ノ丸 → 筑紫神社へ戻る

累積標高差と所要時間
累積標高差:体感300m前後(筑紫神社からの登り) / 所要時間:往復で約3時間(撮影・曲輪散策含む)

この城の概要

勝尾城は、佐賀県鳥栖市の山地に築かれた中世山城で、戦国期には筑紫氏の本拠級城郭として機能したとされます。

標高約501mの山上に主郭を置き、その周囲に大手曲輪・二ノ丸などの曲輪群や大堀切を備えた連郭式の構造で、山麓の館跡(筑紫神社周辺)と一体で「勝尾城筑紫氏遺跡」として国の史跡指定を受けています。

出典・参照元:鳥栖市公式資料・現地案内板、文化庁「国指定文化財等データベース」、ウィキペディア「勝尾城(佐賀県)」ほか。

日本三大城跡史跡のひとつ「勝尾城筑紫氏遺跡」とは!?

日本には、「三大城跡史跡群」と言われている場所があります。私は過去に、

福井県の特別史跡「一乗谷朝倉氏遺跡
熊本県の国指定史跡「八代城跡群 古麓城跡 麦島城跡 八代城跡」

を訪問しました。そこで、今回は「勝尾城筑紫氏遺跡」にやって参りました。何でも、この三つは「日本三大城跡史跡」というらしく楽しみにしておりました。これで、コンプリーーート。

地形・地質のポイント

勝尾城は、筑紫平野を見下ろす標高約501mの山頂部に築かれ、麓から見ると独立丘陵的に立ち上がる山体の頂部を利用した山城です。

産総研シームレス地質図V2を加筆した地質図(1)
引用元:産総研地質調査総合センター「20万分の1日本シームレス地質図V2」(地質図更新日:2022年3月11日)より当ブログ管理者Qが加筆・修正(スマホで拡大可能)
産総研シームレス地質図V2を加筆した地質図(2)
引用元:産総研地質調査総合センター「20万分の1日本シームレス地質図V2」(地質図更新日:2022年3月11日)より当ブログ管理者Qが加筆・修正(スマホで拡大可能)

一気に地質が変わります。赤いところは花崗閃緑岩・トーナル岩。筑後川より以北になると阿蘇山関係の火砕流帯からは外れ、花崗岩がメインになる。この城塞群が地質の際に存在するのが分かります。

産総研シームレス地質図V2を加筆した広域地質図(拡大可)
引用元:産総研地質調査総合センター「20万分の1日本シームレス地質図V2」(地質図更新日:2022年3月11日)より当ブログ管理者Qが加筆・修正(スマホで拡大可能)

特徴的なのは、見事にちょっと入り組んだところに築城している点です。この点が周辺の山城立地では非常に重要で、似たような構成の山城が多数あります。

山城Q:日本でもそう多くないタイプの立地だと思います。

参考リンク:https://yamatano.blog/archives/6647

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アクセス・駐車場

国土地理院地図を加筆した位置図(拡大可)
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qが加筆修正(スマホで拡大可能)

:鳥栖ICから一般道で筑紫神社へ(ナビは「筑紫神社」推奨)
駐車場:筑紫神社に参拝者用の駐車スペースあり(利用時はマナー配慮)
公共交通:JR鳥栖駅からタクシーで筑紫神社までが現実的
登山口:筑紫神社からの登山道が一般的ルート

※道路・駐車場は変更の可能性があります。最新情報をご確認ください。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

吉野ヶ里温泉 卑弥呼乃湯

吉野ヶ里歴史公園から車で約5〜10分と近く、散策後に立ち寄りやすい日帰り温泉です。
泉質は 低張性・弱アルカリ性の単純温泉 で、肌あたりがやさしいタイプとして紹介されています。

露天風呂は開放的で、周囲の里山の空気が心地よい。散策後に静かに整える組み合わせに向きます。

山城Q:お勧めします。広い ゆっくり浸かれる

吉野ヶ里温泉 卑弥呼乃湯|祐徳温泉グループ 公式サイト――佐賀・福岡の日帰り入浴施設
お湯三昧の湯ったり空間。種類豊富な『吉野ヶ里温泉 卑弥呼乃湯』

筑紫神社(館跡)

登山口となる筑紫神社周辺は、筑紫氏の館跡とされる場所でもあり、勝尾城と合わせて「館跡+山城」を一体として感じられるエリアです。
下山後に社殿や境内をゆっくり歩くと、山上の城と麓の館が一体となった防御・生活空間のイメージが立ち上がってきます。

まとめ

勝尾城は、「勝尾城筑紫氏遺跡」の山上部分にあたる山城で、筑紫神社からの登山コースとしても楽しめるフィールドです。

大手曲輪、主郭背後の大堀切、二段石垣といった遺構に加え、筑紫平野を一望し、遠く雲仙普賢岳まで望める大パノラマは、歩き切ったあとにしっかり残るご褒美になります。

【免責】

本記事は個人的な体験・調査に基づくものであり、効果や歴史を断定するものではありません。訪問時は登山道・史跡・周辺施設の最新情報をご確認のうえ、安全第一で行動してください。

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