兵庫

【兵庫県】利神城 狭小総石垣山城 完成即城割になったその威容 

基本情報

 形態:山城
 史跡指定:国指定史跡
 標高:373m
 城の整備:駐車場 歩道
 所要時間:1時間30分 
 訪問日:2011年4月

駐車場

地質から考えてみる

山城Q
山城Q

NHKの番組でその存在を知り登城しました

利神城は、総石垣でした。総石垣となると、どこから石垣を調達したのかが気になります。

引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

地質を調べると、なかなか興味深いことが分かりました。この辺りは、花崗岩層は見当たらず。利神城がある場所だけ、安山岩・玄武岩層(茶色)を中心に周辺に流紋岩層(ピンク)があります。だから、総石垣造りも可能だったのかもしれません。

具体的には、安山岩質凝灰岩(通称西山石)と流紋岩質凝灰岩(通称東山石)となります。

道の駅ひらふく から主郭を眺める

はっきり見えます。雰囲気的は、竹田城に似ています。ここにかつて、総石垣の山城があったなら、
威容は凄かったでしょうね。

城域に入る

登城します(2011年4月時点)

道は概ね一本道です。

途中にアヅマヤがあります。

リスなんかも居たりします。クマよりはマシでしょう。

古墳跡を過ぎて

何やら古墳がありますね。内部に木組みもあります。手前には賽銭箱?

山あるある

絶対に入りたくない「仮設トイレ」。ここの回収は誰が行うのか。そもそも今にも倒れそうで姿勢を任せられない。

やがて馬場へ

ちょっとした木陰を抜けると

山城Q
山城Q

うわ~~これは。。。(閉口)


馬場へ到着。馬場から主郭部を望む

城割があった以外にも、かなり崩落しているように見えます。

二の丸東区跡まで近づく

特に主郭下の法面では砂地が露出しています。良く見ると右上などは、砂地に石組を組んでいるように見えます。もともとあまり適さないのかもしれません。いつ崩れてくるか分からず非常に危ない。

三の丸方面(望遠)

立派な総石垣。しかし、ラインが歪んでおり、今にも崩れそう。野面積みに見えるため、このような不安定な場所では野面積みも、あまり適さないのかもしれません

本来の登城道から三の丸に至る

近づけないので、望遠で撮影しましたが、これは崩れるのは時間の問題だと思いました。

大坂丸方面

何がキッカケで崩壊するか分かりません。これ以上、危なくて近づけません。

天守丸へ

天守丸付近に来ると、若干、石垣の積み方が違う気がしました。そこで、調べてみますと、

史跡利神城跡 保存活用計画 (案)兵庫県佐用町教育委員会 令和2年(2020)3 月 P57 から抜粋

このような資料が見つかりました。
天守丸周辺は、「天正期頃の特徴をもつ石垣」の特徴
それ以外は、「慶長期頃の特徴を持つ石垣」の特徴
とのこと。

山城Q
山城Q

隙間や大きさが違います。

天守丸からの眺望

山頂あるあるの壊れた有料望遠鏡。当然、使うことはできない。

山城Q
山城Q

これはみどころですよ

瓦が大量に散乱しております。ここに三重天守閣が実在したのなら、相当に風を受けたのではないかと。

雅丸横の虎口

山城Q
山城Q

ここはヤバいですね

見事な虎口です。

しかし、正面写真だと分かりづらいですが、かなりの「孕み出し」で崩壊寸前と思います。

内側から押し出されるように膨張拡大しています。もはやギリギリ。弾け出る一歩手前のように見えます。

山城Q
山城Q

危ないのでっさと下山しました。

ツアーガイド企画で登城しましょう

この利神城は、廃城でも、リアルに危険な部類に入ります。砂地の露出で今後どうなるか予想できます。見てみたい気持ちをクスグラレル場所や角度が多いですが、土塁だけならまだしも、危険な石垣を含むとなると話は別です。

現在では、個人では登城することができないようですので、「ツアーガイド」など、集団で登城することをお勧めします。個人登城では万が一が「あり得る」山城でした。(実際にドクターヘリ案件があったようです。)

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