兵庫

利神城(兵庫県佐用町)|臨界の石垣線(2011年記録)

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W3 ★★★
(ガイドツアー専用ルート 個人登城は禁止)

山城ウェルネス

山城ACTレベルの設定理由
登城ルートは概ね一本道で、迷いにくい構造です。歩行の組み立て自体はシンプルですが、砂地もあり体力負荷は中級。一方で現在は個人登城が不可のため、実施条件はガイドツアー前提になります。

山城Wレベルの設定理由
砂地の斜面と総石垣が連続し、足元と視界の条件が大きく切り替わります。虎口や石垣の“際”に立つ場面が多く、自然に意識が引き締まる構造です。歩行負荷は軽めでも、場の密度が高いためW3としました。

主なルート
道の駅ひらふく〜登城口〜馬場〜主郭部(往復2〜3時間・ガイド行程準拠)
所要時間:ガイド行程に準拠

ツアーガイド企画で登城しましょう

利神城は、廃城でも危険度が高い部類に入ります。砂地の露出や石垣の孕み出しが目立ち、近づきたくなる角度が多い一方で、無理は禁物です。

現在は個人では登城できないため、「ガイドツアー」など集団での登城が前提になります。個人登城では万が一が「あり得る」山城でした。

アクセス・駐車場

・駐車場は麓の「道の駅ひらふく」が基点として便利。
・公共交通は佐用駅からバス利用。
・現在は個人登城不可のため、佐用町公式のガイドツアーに申し込み必須
(詳細は公式ページ参照)

現地レポート|ルートと見どころ

道の駅ひらふく から主郭を眺める

道の駅ひらふくから望む利神城跡

はっきり見えます。雰囲気的には、竹田城に似ています。ここにかつて総石垣の山城があったなら、威容は凄かったでしょうね。

登城します(2011年4月時点)

利神城跡への登城口と山道

道は概ね一本道です。

登城途中にあるあずまや

途中にアヅマヤがあります。

利神城登城道で見かけたリス

リスなんかも居たりします。クマよりはマシでしょう。

古墳跡を過ぎて

登城途中の古墳跡の様子
古墳内部の木組みと賽銭箱

何やら古墳がありますね。内部に木組みもあります。手前には賽銭箱?

古墳周辺の登城道
利神城跡登城道の山腹斜面

やがて馬場へ

馬場へ向かう滑りやすい登城道

ちょっとした木陰を抜けるのですが、ここが滑る滑る。

(未分岐直行型)馬場に到着

滑りやすい斜面の登城道


砂地の斜面をあがり、呼吸も整ったところで馬場へ到着。馬場から主郭部を望みます。が

山城Q
山城Q

うわ~~これは。。。(閉口)

馬場から見上げる利神城主郭部

かなり崩落している。砂地が丸見えで危険度MAX。

崩落が進む利神城の石垣

これは、脇に進んではダメだ。危ないし、遺構の損壊にも繋がる可能性がある。

二の丸東区跡まで近づく

二の丸東区跡周辺の石垣
主郭下法面の砂地と石組み

特に主郭下の法面では砂地が露出しています。良く見ると右上などは、砂地に石組を組んでいるように見えます。もともとあまり適さないのかもしれません。いつ崩れてくるか分からず非常に危ない。

三の丸方面(望遠)

三の丸方面の総石垣遠景
歪みが見られる石垣ライン

立派な総石垣。しかし、ラインが歪んでおり、今にも崩れそう。野面積みに見えるため、このような不安定な場所では野面積みも、あまり適さないのかもしれません

本来の登城道から三の丸に至る

本来の登城道と三の丸方面の石垣

近づけないので、望遠で撮影しましたが、これは崩れるのは時間の問題だと思いました。

崩落が進む石垣のクローズアップ
三の丸周辺の石垣と斜面

大坂丸方面

大坂丸方面の石垣列

何がキッカケで崩壊するか分かりません。これ以上、危なくて近づけません。

天守丸へ

天守丸周辺の石垣と曲輪
天守丸付近の石垣ディテール

天守丸付近に来ると、若干、石垣の積み方が違う気がしました。そこで、調べてみますと、

天守丸周辺とその他の石垣の積み方の違い図
史跡利神城跡 保存活用計画 (案)兵庫県佐用町教育委員会 令和2年(2020)3 月 P57 から抜粋

このような資料が見つかりました。
天守丸周辺は、「天正期頃の特徴をもつ石垣」の特徴
それ以外は、「慶長期頃の特徴を持つ石垣」の特徴
とのこと。

山城Q
山城Q

隙間や大きさが違います。

天守丸からの眺望

天守丸から見える有料望遠鏡と景色

山頂あるあるの壊れた有料望遠鏡。当然、使うことはできない。

天守丸周辺に散乱する瓦片

瓦が大量に散乱しております。ここに三重天守閣が実在したのなら、相当に風を受けたのではないかと。

天守丸から見下ろす城内の様子
天守丸からの眺望と山並み

雅丸横の虎口

山城Q
山城Q

ここはヤバいですね

見事な虎口です。

雅丸横の虎口入口付近
孕み出しが進む雅丸横の虎口石垣

しかし、正面写真だと分かりづらいですが、かなりの「孕み出し」で崩壊寸前と思います。

内側から膨らんだ石垣の様子
孕み出しが顕著な虎口石垣の側面

内側から押し出されるように膨張拡大しています。もはやギリギリ。弾け出る一歩手前のように見えます。

山城Q
山城Q

危ないので、さっさと下山しました。

この城の概要

利神城は、尾根上に築かれた総石垣の山城で、天守丸周辺に天正期の積み方、その他に慶長期の積み方が残る。
三重天守があったとされるが、現在は崩落が進み、危険区域が多く個人での立ち入りは禁止されている。

地形・地質のポイント

利神城は、総石垣でした。総石垣となると、どこから石垣を調達したのかが気になります。

利神城周辺の広域地質図
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)
利神城と周辺尾根の拡大地質図
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

地質を調べると、なかなか興味深いことが分かりました。

この辺りは、花崗岩層は見当たらず。利神城がある場所だけ、安山岩・玄武岩層(茶色)を中心に周辺に流紋岩層(ピンク)があります。だから、総石垣造りも可能だったのかもしれません。

具体的には、安山岩質凝灰岩(通称西山石)流紋岩質凝灰岩(通称東山石)となります。
→ 谷を見下ろす独立尾根と、石材の採集しやすさが“総石垣の巨大化”に影響した可能性があります。

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
石垣の崩落痕が見せる地肌は、歩くほどに時代の気配が近づくように感じられます。
砂地の尾根に立つと空気が切り替わり、滞在のテンポが変わる場面が出てきます。

② 遺構の固有要素
総石垣の名残と、孕み出しが進行した虎口が見せる“臨界感”。
天守丸周辺の積み方の違いが、城内の層の違いをはっきり見せます。

③ 景観・地形の固有性
砂地の露出する急傾斜と、尾根上の段々構造が同時に見えるのが特徴です。
麓から主郭を望むと、竹田城に通じる“天空感”のある見え方になります。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

温泉
・「佐用の湯」:下山後に立ち寄りやすい日帰り温泉です。

グルメ
・「道の駅ひらふく」:登城前後の補給や休憩に組み込みやすい拠点です。

名所
・「平福宿場町」:利神城の山麓に広がる宿場町で、川沿いの町並みが残ります。

免責

本記事は、現地での観察メモをもとに整理し、筆者なりの解釈を加えた記録です。史実の正確性を保証するものではありません。また、整備状況・所要時間・交通手段・施設情報等は変更される可能性がありますので、訪問の際は必ず最新情報をご確認ください。

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