
基本情報
形態:山城
史跡指定:国の指定史跡
標高:382m
城の整備:登山道あり
所要時間:往復3時間
訪問日:2020.03

駐車場 アクセス
大規模駐車場ありますので、安心して止められます。
地質を確認

真ん中には、丸亀平野と「櫛梨山城」がありますが、その周辺は、この地方特有の地形。

岩山頂に硬い岩盤として「讃岐岩質安山岩」が乗っかっており、その下の黄色い層は「角礫凝灰岩」、下層のピンク基盤は「花崗岩」となっております。
標高こそ違いますが、屋嶋城、城山城、金刀比羅宮、天霧城と同じ地質をベースにしたということ。つまり、もうこの時点で

名城の証!!
期待は膨らむばかり。
鳥瞰図 縄張り図


かなり広大。最高所に本丸があり、東に向かって二の丸・三の丸を備える山城。登城道としては、西側の「弥谷寺」から登ることになる様子。本丸背後から登るので、等角線が密で急登が予想されます。
また、この曲輪配置を見ると、本来は東側から登るという気がします。では、なぜこうなのか

恐るべき状況となっております
遠望

「これを登るのか~。」と思える眺めです。周辺が平野だけに、非常に目立ちます。圧倒的存在感。これは「時間が掛かりそう~。」しかし、

これですね。実は、城仲間から「天霧城は、無くなるんじゃないか」という話を聞き、急遽、来てみたわけです。なんと採石の攻撃に蝕まれております。かなりエグラレテおり、本来の大手門経由の登城道は消滅した模様。国の指定史跡と採石産業の際のせめぎ合い。

なんということだ

法面を見ると白っぽく見えます。この場所では、一番上にある硬い岩盤「讃岐岩質安山岩」ではなく、その下にある薄黄色の層「角礫凝灰岩」が採石されているようです。
逆に考えれば、ここは山の内部にどれくらい岩が露出しているのかを直接確認できる貴重な場所でもあります。
城域に入る

弥谷寺から登り出し、案内矢印に従い進みます。この道も「遍路道」と書かれており、修行の道ということなのでしょう。

修行の道と言えども、道は緩やかで登りやすいです。
隠砦


出丸というか、武者隠しがあります。
二つ目の隠砦

二つ目の隠砦。このパターンは他でも見ます。この裏側に空間があり、兵士を隠しておくことができます。
井戸跡と本丸下の分岐

この辺りから、急登の予感。左側に進めば、井戸跡があります。しかし、かなりの獣道風で、進むには注意が必要です。ですので、右側に進みました。
難所 「犬返しの険」


なんというネーミングだ
「犬返しの険」。犬も登るのに、はね返されるほと苦労する急登ということですか!確かに。そら~、ここは本丸下にあたるので、そんなに簡単に登られちゃ困ります。




きつい。
本来の道ではないだけに、キツイ。キツイ。しかし、犬ではない二足歩行型人間に登れない道などありません。どんどん進みます。
一気に、本丸跡へ

やっと着きました。なかなかの道でした。

二の丸
比較的広いスペースがあり、城兵の詰め所や兵糧の備蓄、支援施設が置かれたか

三の丸
さらに外側に位置し、城全体の防衛の第一線を担うエリア


堀切の石垣

このような山頂にも石垣があります。
井戸跡

本格的な井戸を見つけました。今でも現役の様子。ふと深さが気になり、近くにあった木の棒を突っ込んでみたのですが、下まで届かない!木の棒は1.5mぐらいありましたが。相当に深い。底がどうなっているのか非常に気になります。
甕の遺物

確かに、ここで人が生活をしていたようです。甕?の遺物を見つけました。
問題の採石具合


一番東側の方形郭の端まできました。しかし「ここから先は危険です」というような指示があります。あんまりそのような指示を受けたことはありません。つまり、周辺はどのような状況なのかと説明しますと、


こんな状況なのです。南東側がエライことになってます。

高い。ギリギリまで近寄ってみますが、これはさすがに足がすくむ。内側に削られており、これ以上は近寄ることはできません。youtuberではありませんので、これ以上は進むことを諦めました。この恐怖は、山梨の岩殿山城に近いです。
気づき
今回は、「遺跡の保護と産業の維持」という点から考えさせられる低山ハイクとなりました。天霧城は素晴らしい山城です。「天霧」という名前も趣があって良いです。
しかし、採石活動によって一部が損なわれており、特に本丸付近の一部は鋭角に切り取られ、無残な姿となっています。また、二の丸や三の丸の登城道も採石の影響で消失している可能性があります。
これらの状況は、国指定史跡としての保護と採石産業との間でのせめぎ合いを象徴していますね。
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