山城ACTレベル:初級 ★☆☆ 山城Wレベル:W2 ★★☆

この日は、大雨の直後で写真少なめ

この山城の魅力|3つのポイント
① 体験価値(ウェルネス)
暖帯林に包まれた石垣の間を短い距離だけ歩くだけでも、湿った土の匂いと静けさにふれ、肩の力がすっと抜けていく感覚があります。崩れた石垣と礫岩が、廃城の時間を静かに感じさせてくれます。
② 遺構の固有性
礫岩の石垣と斜面に沿う古い石積みが、風化しながら続いていく石垣景観をつくっています。天守下と主郭周辺で積み方や表情が変わり、二層構造の城郭美がわかりやすく味わえます。
③ 景観・地形の固有性
三熊山の斜面から港町・洲本と海の眺めが一度に視界に入り、山・街・海の位置関係がつかみやすい立地です。霧や光の加減によって、同じ眺めでも印象が少しずつ変わります。
現地レポート|ルートと見どころ

なにやら見えます

霧が掛かり、「噂の天守」は竜宮城のような

ルート的には、駐車場から普通に登ります。

登城道から見える古びた石積み


このへばり付くような石垣の間からの樹木の感じが最高です。暖帯林は植物の宝庫ですが、整備をしないと、さらに石垣との同化が進みそう。岩は、砂岩か泥岩に見えます。

謎なのは、この日は至るところに、ほうきが立て置きされていました。まじない??みんなで掃除でもする日なのでしょうか
この巨大礫岩が目につく

この城は、礫岩やさざれ石がちょくちょくあることに気が付きます。



こんな感じがサイコー
この道すがら、いたるところに石積みがみられ、全体像として、把握が難しい。暖帯林との融合がなんとも雰囲気が良いです。
「スダジイの巨木」という木

特に案内板などは無かったのですが、この木の大きさに思わず写真を撮りました。

かなりの大木!
あとから、これが「スダジイの巨木」だと知りました。植物がしっかり育っていると思います。雨の直後ですが、生き生きしている。このように、木々が生い茂っている市内のお城は、他ですと、宇和島城が似た感じですね。
これはヤバい 天守下の石垣群
【訪問前の注意】写真は2011年時点
洲本城では、天守下石垣を含む本丸周辺で修復工事が行われており、登城ルートの一部が通行止め・変更となる場合があります。
指定の迂回路を利用し、立入禁止区域には近づかないようご注意ください。特に雨天時は足元が滑りやすくなります。
最新の状況は洲本市・淡路島観光の公式情報をご確認のうえ、安全な登城をお願いします。
登城道の脇から誘われるようにたどり着きました


ひえ~石垣のラインが崩れている


礫岩で石垣を造っている!これは苦労した感じ。


このさざれ石は、超巨大!

この辺りとか、もう限界ですね。廃城の雰囲気が出過ぎて、デンジャラス。危ない!
主郭周辺は、脇坂家の時代のものらしい



明らかに、天守下の石垣とは完成度も造り方も違います。立派です。



これが噂の天守閣


正面から見ると、シャチホコが面白い付き方をしていますね。(あんまり天主には詳しくないです)

アクセス・駐車場
・車
神戸淡路鳴門自動車道・洲本ICから、国道28号・県道76号線経由で約20分。三熊山中腹の駐車場を利用し、そこから山道を歩いて城域へ向かいます。
・現地状況
2021年8月の豪雨による石垣崩落の影響で、立入禁止エリアや迂回路が設けられています。訪問前に、洲本市や観光協会の最新情報を確認してから計画するのがおすすめです。
この城の概要
洲本城は、淡路島・三熊山の山上に築かれた山城で、山上の上ノ城と麓の下ノ城からなる城郭です。
戦国末期から近世初期にかけて、脇坂安治らの手によって石垣を伴う総石垣の城へと整えられ、瀬戸内海と紀淡海峡を見張る海上交通の要衝として機能しました。
山城ACTレベルと山城Wレベル
洲本城の山城ACTレベル:初級 ★☆☆
洲本城の山城Wレベル:W2 ★★☆
山城ACTレベルの設定理由
標高差がおよそ100m前後で、距離も2〜3kmほどと短めの行程です。
舗装路と山道が組み合わさりつつも、急峻な岩尾根や長い急登はありません。
足元に注意すれば、中高年でも「小さな山歩き」として無理なく楽しめる範囲と判断しました。
山城Wレベルの設定理由
暖帯林に包まれた登城路と、風化した石垣・礫岩がつくる独特の静けさがあります。山上から港町と海を見下ろすことで、「城・街・海」が一度に感じられる体験が得られます。行程はコンパクトながら、森歩きと石垣景観にじっくり浸れることから、W2 ★★☆としました。
自然環境

この城は、この「暖帯林」が景観や保存に大きく影響しています。
地形・地質のポイント
洲本城が建つ三熊山一帯は、中央構造線の北側に沿って細長く分布する「和泉層群」に属し、礫岩・砂岩・泥岩を主体とする地帯です(和泉層群:中生代白亜紀後期の海底堆積物が隆起してできた岩石層)。

この地域の礫岩や砂岩は石垣材としては風化しやすく、割れやすい性質がありますが、城山の斜面には礫岩やさざれ石が豊富に見られ、現地で採れる石材を最大限活用した総石垣の姿が今も残っています。

暖帯林に覆われた斜面と、石垣の風化・崩落が複雑に絡み合い、「森と石垣が同化した山城景観」がこの城の大きな特徴です。
瀬戸内海を望む独立丘陵の山上に築かれたことで、麓の港町と海の動きを一望でき、防御と見張りの両面で「地の利を最大限いかした」立地だったといえます。
昔の人って、どうしてこうも「際」を知っているのでしょうか。
この場所は、「和泉層群(黄色)」という中央構造線の北側にそって細長く分布している中生代白亜紀後期の地層なのです。その幅、おおよそ東西300㎞ 南北15km
ハッキリって、この層を東西に見渡しても大規模な山城はありません。(小規模な城は、あると思いますが)

地質があまり良くない。
海底が押し上げられて出来た。基本、礫岩、砂岩、泥岩がメインでハッキリ言って、石垣に向かない地質です。砂岩で出来た似たような山城としては、佐賀県の岸岳城とかが似ています。
しかし、そのお陰で脇坂家は3万石にも関わらず、ふもとなどからの石材運搬が不要で、このような大規模総石垣の城を築くことができたとのこと。

地の利を最大限に生かした
なんせか、岩の風化が激しく、割れる。加えて、暖帯林での樹木の樹勢。今、市は必死になって、再整備と石垣の保存に取り組んでいます。
周辺観光・温泉(地域再生)
温泉|洲本温泉・古茂江温泉(車で約10〜15分)
洲本城の麓に広がる温泉エリアでは、海辺のホテルで日帰り入浴が可能です。
洲本温泉はアルカリ性単純温泉、古茂江温泉はナトリウム-塩化物強塩泉で、一般的に神経痛・筋肉痛・冷え性・疲労回復などに適応するとされます。登城後、海を眺めながら湯に浸かる時間は、中高年にも心地よい余韻を残してくれます。
グルメ|しあわせ島ごはん まどみ(車で約10分)
洲本港近くの落ち着いた食堂で、島野菜中心のやさしい定食が楽しめます。登城後の身体にも負担が少ない、穏やかな食事処です。
歴史資源|洲本八幡神社(徒歩約15分)
洲本城の鎮守として親しまれてきた神社で、境内のクスノキと静かな空気が印象的。「海・山・城・社」を一日で巡る締めくくりの立ち寄りスポットです。
まとめ
洲本城は、標高も行程も比較的やさしく、暖帯林と風化した石垣がつくる独特の雰囲気のなかで「山城×森歩き」を楽しめる山城です。
礫岩やさざれ石を用いた石垣、天守下の崩れかけたライン、主郭周辺の整った石垣といった二層的な石垣景観は、山城好き・石垣好きにとって忘れがたい風景になるはずです。
【免責】
本記事は個人的な体験・調査に基づくものであり、歴史や効果を断定するものではありません。訪問時は最新情報をご確認ください。






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