福井

後瀬山城(福井県小浜市)|チャートがつくる要害、日本海へ開く視界

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W2 ★★☆

山城ウェルネス

山城ACTレベル:中級 ★★☆
比高約120mの連続登高と段郭横断が続き、身体負荷が防御理解と直結する構成。単なる散策ではなく、歩行そのものが構造把握に関与するためA★★相当と判断する。

山城Wレベル:W2 ★★☆
防御構造と地形の関係を理解しながら歩けるが、没入は主郭到達時点で一度収束する。時間経過による意味形成は成立するものの、持続的な没入には至らないためW★★と判断する。

主なルート
・能瀬地区登山口 → 段郭群 → 八幡神社側との合流曲輪 → 主郭(往復約1時間)

累積標高差と所要時間
累積標高差:約120m / 所要時間:約1時間(往復)

地形の特徴
東側の急崖と山頂部の段郭が連続し、海側へ視界が抜ける主郭を中心に、防御と眺望が一体化した構成です。

アクセス・駐車場

登城口:能瀬地区登山口
駐車場:登山口付近に数台分あり
公共交通:小浜駅より車で約15分

現地レポート|ルートと見どころ

後瀬山城 能瀬地区登山口周辺の様子
後瀬山城 登城ルートを示す現地地図の画像
現地地図を管理者のQさんが加筆修正

山頂まで基本的に一本道。整備もされており、問題なく登ることができます。見るべきポイントもしっかりあります。とにかく、東側が急峻な崖となっており、守りやすいということです。

どこまでも登りやすい?

後瀬山城 登城道入口付近の階段道
後瀬山城 山中に延びる整備された登城階段

立派な階段を備えた登城道

展望は、、、

後瀬山城 登城道途中にあるベンチの写真

座っても全く景色は見えないベンチ

後瀬山城 東側の崖と斜面の様子

東側に崖が続くので、とにかく途中から曲輪群が続きます。守りはそれで十分に果たせます。

後瀬山城 山頂部へ続く段郭の連なり

段郭が続く

(中間分岐点)合流地点 ここから真価を発揮

後瀬山城 八幡神社側との合流曲輪の様子

そして、八幡神社側との合流地点に土塁を備えた本格的な曲輪が出現

後瀬山城 合流地点周辺の縄張図
現地地図を管理者のQさんが加筆修正
山城Q
山城Q

この場所の守りが堅いですね

後瀬山城 崖に挟まれた細い登城道

このキュッとしまった登城道。左右共に崖。実際は、写真の奥らへんに丁度、門があったような土盛があります。となれば、守りは堅いと思います。

主郭部に到着

後瀬山城 主郭手前の石垣と石段

途中、いくつもの曲輪の横を登り続けるとこの石垣と石段が迎えてくれます。

後瀬山城 主郭周辺に散乱する瓦片
後瀬山城 主郭部の平坦な曲輪

瓦がかなり散乱しております

後瀬山城 主郭周辺のチャート石積み

お~チャートの石積み~。

後瀬山城 愛宕神社背後の石垣

この愛宕神社背後の石垣ですが、当時のものか、後世のものか不明です。海側にあるため、
愛宕社に関わる区画として、後の時代に手が入った可能性も含めて見ておくのが無難に思えます。入口の石垣とは、積み方の印象が少し違う気がします。
そうすると、石段も愛宕社のものなのかどうかは判断がつきません。

眺望

後瀬山城 主郭から望む若狭湾の眺望
山城Q
山城Q

若狭地方山城によくある風景

城の山頂から日本海がすぐそこに見えます。

後瀬山城 主郭近くにあるチャートの大岩
山城Q
山城Q

大きいですね

主郭付近にあるこの大きな岩は、位置と存在感から「磐座(いわくら)」を想起させます。ただし、現地では祭祀に伴う明確な加工痕や遺構は確認できず、現時点では断定はできません。

一方で、城郭の主郭という「意味が集中する場所」に、自然岩がそのまま残されている点は注目に値します。城が築かれる以前から、この場所が何らかの象徴性を帯びていた可能性は否定できません。

本記事では、この岩を「磐座である可能性を含んだ自然岩」として扱い、今後の比較事例(若狭地方の山城や海沿いの祭祀遺構)と照らし合わせて検討していきたいと思います。

謎の石組

後瀬山城 主郭近くにある謎の石組の写真

この石組は、用途がはっきりしません。主郭の周辺にこうした石組が残っている、という事実として見ておきます。

この城の概要

後瀬山城は、福井県小浜市に位置する若狭湾を見下ろす山城で、比高約120mの後瀬山頂部に築かれ、主に海上の監視と周辺交通の要衝として機能したとされています。

東側を急峻な崖に守られ、登城道沿いに連続する段郭群と土塁を組み合わせた防御構造が特徴で、特に中腹の八幡神社側合流地点で本格的な曲輪が現れ、守りの堅さを体感できます。

現在は整備された登山道から主郭までアクセスしやすく、主郭からは若狭湾の壮大な眺望が広がり、チャートの大岩や散乱する瓦片などの遺構が残る、眺望と地形利用の妙が楽しめる山城です。

地質から読み解く

後瀬山城周辺の地質分布図の画像
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

地質図を見ると、この周辺は泥岩系の分布として整理されており、近接してチャート層も確認できます。現地で見えたチャートの石材は、こうした分布と重なって見える部分です。

リアス式海岸といえば、

長崎対馬の金田城ですね。あそこもリアス式海岸を使っている。そして、チャートと言えば、代表的な山城として思い出す場所があります。

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
登城開始から段郭が連続し、八幡神社側との合流地点で土塁を備えた曲輪が現れる。ここで防御の要所が明確になり、時間経過によって空間の意味が切り替わる構造を持つ。。

② 遺構の固有性
東側の急崖を背後に取り込み、その縁に沿って段郭を重ねることで、人工構造を最小限に抑えつつ防御線を成立させている。地形そのものを防御資源として用いる設計が読み取りやすい。

③ 景観・地形の固有性
主郭に到達すると若狭湾方向へ視界が開き、これまで辿ってきた登城経路と防御配置が一体として把握できる。歩行の積み重ねが、主郭到達時点で一つの構造として収束する。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

■ 温泉
御食国若狭おばま 濱の湯

登城後に立ち寄りやすい、小浜市の公共温浴施設です。

露天風呂やサウナなどもあり、歩いたあとに一区切りつける場所として使いやすいです。

■ グルメ
御食国若狭おばま食文化館内レストラン
地魚を中心とした郷土料理が楽しめる。

■ 歴史名所
明通寺(国宝本堂・三重塔)
若狭地方の宗教文化を象徴する静謐な空間。

免責

本記事は、現地での観察メモをもとに整理し、筆者なりの解釈を加えた記録です。史実の正確性を保証するものではありません。また、整備状況・所要時間・交通手段・施設情報等は変更される可能性がありますので、訪問の際は必ず最新情報をご確認ください。

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