佐賀

少弐山城(佐賀県みやき町)|強烈な四連続大堀切 無数の段郭 戦闘的山城

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W2 ★★☆

山城ウェルネス

山城ACTレベル:中級 ★★☆
未整備で小径程度のため、足元確認が常に必要です。右ルートは竹藪・倒竹で進路が塞がり、通過が作業になります。短時間でも体力と集中の両方を要求されます。

山城Wレベル:W2 ★★☆
分岐の選択が体験の核になり、判断の重さが残ります。堀切・土橋・段郭が連続し、空間の切り替えが明確です。情報が少ないぶん、自分で読み解く時間が増えます。

主なルート
綾部八幡神社付近 → 取付き → 分岐(左/右)→ 大堀切・土橋 → 段郭群 → フェンス地点で引き返し

所要時間
1時間半

駐車場 アクセス

周辺は道が狭く、駐車場はないため、綾部八幡神社に停めて徒歩5分程度。

綾部八幡神社周辺の目印となる風景。駐車後に徒歩で向かう起点
登城口周辺の道の様子。周辺道路が狭く通行に注意が必要な区間
登城口へ向かう周辺の目印となる建物・道の分岐付近の景観

「緑屋根のお堂」がありますので、その西側の道を北側に進みます。すると空き家があるので、そこが入口です。

現地レポート

城域の概略縄張り図。分岐点と各見どころ位置を示した加筆図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである

案内看板はありません。縄張り図は、ネットに先輩諸氏が掲載されています。私も記憶をもとに書いてみました。このような感じです。一番重要なことは、

山城Q
山城Q

分岐を間違わないこと

左側ルートは、多少の道があり、比較的にスムーズに登っていくことができますが、右側ルートは非常にシビアです。竹藪と倒れた竹が進路を塞ぎ、進むことは困難です。

つまり、私が今回進んだ道です。大堀切を見ることができるので、多少の収穫はありますが、基本は左側ルートが良いですね。

城内のとある場所にて

城内の一角の景観。山中で遺物が見つかりそうな落ち着いた場所

実は管理者は、山の中を彷徨っていると、いろいろな物を見つけます(当然、持ち帰ったりしません)。今回も、山中のとある場所で「土師器」という土器の破片を見つけました。

山中で見つけた土師器片。地面から先端が露出していた破片の写真

普段、釉薬付の磁器や陶器の破片は、よく見かけるのですが、土師器はあんまりないですね。焼しめているだけなので、割れて土に帰るので。この先端が地面から顔を出していました。断面は、下の方が薄いので割と新しい物かもしれません。

竹林に近い城内の曲輪跡。草が少なく平坦地が確認しやすい場所
城内の平坦面と周辺の竹林。遺構観察がしやすい見通しの良い環境

竹林が残る山城は、本当に見やすい。まず、草があまり生えていないので、平坦地は確認がしやすいです。この辺りから期待が膨らみます。

ここでの選択肢が「超」大事

分岐点を含む縄張り図の再掲。左ルートと右ルートの違いを示す図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである
登城中に現れる分岐地点付近の風景。進路選択が体験を左右するポイント

やがて、分岐地点があります。運命の分かれ道

山城Q
山城Q

左に行くか、右に行くか

私は、右の道を選択しました。結果、非常に困難なことに。左のルートを選択すると、

左ルート側にある祠の風景。道筋が見えやすくスムーズな進行が可能

このような祠があり、道がしっかりと見えます。

左ルートの登り道の様子。踏み跡が比較的明瞭で歩きやすい区間

登り道も確認でき、とにかく非常にスムーズです。今回は、帰り道ということになります。

右ルートを選んだばかりに。。。

右ルートの竹藪と倒竹が密集する区間。進路が塞がり通過が困難な様子
右ルートの荒れた登城路。倒竹と藪で足元と進行方向の確認が必要
右ルートの難所の連続。竹の倒伏で前進が作業になる場面
山城Q
山城Q

まさに地獄

①の竪堀

縄張り図の①地点(竪堀)位置を示す参照図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである
①の竪堀の現地写真。深い溝状地形で進行が難しい防御施設

進むには非常に困難。季節的に冬なので、まだマシでしょうけど、夏場だと「蚊」と「蜘蛛の巣」と「湿度」の攻撃にさらされ、歩行困難になると思います。

竪堀周辺に見える平坦地。曲輪状の地形が確認できる場所

平坦地は確認できます。

竪堀に沿った横移動の難所。倒竹と藪で歩行が制限される区間

横に移動するのも大変。バキバキと踏みしめて進むのみです。しかし、こちら側の巨大竪堀を見られたので満足しましたが。これぞ、廃城巡り!

②あたりの石積みと土塁

縄張り図の②地点(石積み・土塁)位置を示す参照図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである

石積み

②付近で確認できる石積み。小規模ながら人工的な積石が残る箇所

途中に、石積みを発見しました。正直、この山城ではこの程度です。

土塁

②付近の土塁の写真。盛り土の線が残り防御線の厚みが感じられる

③あたりの大堀切と巨石

縄張り図の③地点(大堀切・巨石)位置を示す参照図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである
③付近の大堀切。深く大きな切断で尾根を断ち切る防御施設
③付近の巨石の風景。場のシンボルになりそうな目立つ花崗岩

何やらシンボリックな岩です。何か名前がありそうです。

消えかかった標識。

消えかかった標識の写真。「少弐城山」と読める案内の痕跡

標識と言えば、ほぼこの程度です。少弐城山と書かれているようです。実は、林業の方がいるのか多少、管理されている気もします。あたりに、先人の「赤テープ先生」もちらほらありますので、ルートを確認するには良いかと。

④あたりの大堀切と土橋

縄張り図の④地点(大堀切・土橋)位置を示す参照図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである
④付近の大堀切の様子。切岸と溝の組み合わせが体感できる場所

土橋

④付近の土橋。堀切をつなぐ細い通路状地形が残る防御施設
土橋周辺の地形。堀切と通路の高低差が分かる現地の様子

⑤あたりの段郭群

縄張り図の⑤地点(段郭群)位置を示す参照図
出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである

約20段の段郭が続く

この⑤あたりから、景色が一変します。竹藪も消え、非常に見学がしやすいです。段郭の数を数えましたが、大小合わせて20段ぐらいあります。「鉄壁の備え」感がスゴイです。

⑤付近の段郭の連なり。曲輪が階段状に続く防御的な地形
段郭群の一部。平坦面が連続し、線の太い縄張りが体感できる
段郭の平坦地と切岸。防御の厚みが分かる地形の写真

登頂部についたものの

山頂部付近の到達地点の風景。尾根上の平坦地が続く区間

ようやく山頂かと思いきや

進行を遮るフェンスの状況。ここから先へ入れない境界地点

フェンスでこれ以上進むことができませんでした。この向こうに何があるのか

フェンス越しに見える階段状の構造物。高速道路側へ続く可能性がある場所

何やらフェンスの反対側には階段があります。そう。つまりこの先は、高速道路なのです。降りるとたぶん、捕まります。

⑥あたり 山頂に満足し、ちょっと降りてきました

縄張り図の⑥地点位置を示す参照図。山頂付近から少し降りた場所
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能) 
⑥付近の花崗岩の露頭。平坦な岩盤が露出している場所
⑥付近の見晴らしと地形。段丘状の地形で周囲を見渡せる区間

真っ平な花崗岩。前情報によると、古墳の石だとか。天板にあたるのでしょうか。この辺りは、段丘でもあるので、見晴らしも良く古墳がたくさんあります。勢福寺城でも「古墳」が重要な場所にありました。

⑦のあたり ここは、疑問でした

縄張り図の⑦地点位置を示す参照図。途中で二手に分かれる箇所
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能) 

縄張り図を見る限り、⑦の場所は、途中から二手に分かれています。

山城Q
山城Q

なぜだろう??

と思っていました。しかし、理由は一目瞭然でした。

⑦付近の大きな花崗岩。進路が分かれる理由となる障害物
花崗岩の脇を回り込む地形。直線で落とせないための縄張りの変化が分かる

大きな花崗岩が存在していたようです。真っすぐに落としても良かったのでしょうが、花崗岩があるのでそこは変化を付けたのでしょう。

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
案内看板がなく、目印はリボンやテープが中心です。歩行中ずっと「分岐を間違えない」か緊張が続きます。

② 遺構の固有性
大堀切・土橋・段郭が連続し、線の太い防御が体感できます。段郭は大小合わせて20段ほど数えられ、厚みがはっきり残ります。

③ 場の性格
左ルートは比較的スムーズ、右ルートは竹藪と倒竹で進行が困難。同じ山でも選択で体験が一変するのが特徴です。

地質 周辺環境

周辺地質の概略図。背振山地〜天山周辺の花崗岩帯を示す加筆図
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

福岡県と佐賀県の県境、「背振山地」や「天山」を中心とした地域は、地下深くのマグマが冷え固まって出来た花崗岩層が存在します。

花崗岩層と堆積層の境界を示す地質図。城郭群が形成される地帯の位置関係
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

特に、この一帯は、花崗岩層と堆積層の境界線であり、その際にいくつもの山城が集合して「城郭群」を形成しています。面白いことに、この三つの地形を見てみると、立地も非常に似ています。

東側に河川が深く入り込んだ段丘を形成しており、そこを中心に山城がいくつもあり、それぞれ一体の「城郭群」を形成しています。それにしても

山城Q
山城Q

昔の人の選択眼はスゴイ

と感心するばかりです。これを見ても、勝尾城筑紫氏遺跡は、日本三大城跡史跡群に選ばれるなど、国の史跡なのですが、他の2城郭群も勝尾城筑紫氏遺跡に引けを取らないたいへん立派なモノです。

吉野ヶ里遺跡に予算を使いすぎなのでしょうか、行政区が違うからなのか、もっと3つをセットにするなどして、大々的にPRしても良いと思います。観光資源としてのポテンシャルが非常に高いと思います。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

単純弱放射能泉 吉野ヶ里温泉 卑弥呼之湯

山城Q
山城Q

吉野ヶ里遺跡の近くにあります

山城登りで汗をかいたら、ぜひここへ。おススメです。

花崗岩帯を示す地質図の再掲。放射能泉との関係を示唆する範囲
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

先に紹介したこの地図ですが、重要なことが隠されています。それは、

山城Q
山城Q

花崗岩帯

花崗岩は、マグマが地下深くでゆっくり冷え固まってできた深成岩の代表です。実は、この花崗岩から「ラドン」を含む「放射能泉」が出ることが多いのです。

放射性物質「ラドン」を含む温泉が最強だと考えます。ここは、吉野ヶ里遺跡の近くにあり、名前も「卑弥呼」ですし、泉質も良いとなると「正に最強」。加えて、湯舟が広いのでノンビリできます。非常に良い温泉施設です。

絶品!綾部のぼたもち

綾部のぼたもちの店舗外観。綾部八幡神社前にある名店

綾部八幡神社の前にあります。「綾部のぼたもち」は、地元佐賀だけではなく、県外の福岡からも多くのお客さんが来る名店です。

綾部のぼたもちの購入品。こし餡と柔らかい餅が特徴の和菓子

5個入から販売されています。「練り込まれたこし餡」と「柔らかい餅」が口の中で溶けます。風味は伊勢神宮の「赤福」に近いですが、それよりもさらに柔らかく、当日も引っ切り無しにお客さんが買ってました。私は、登城後でもありましたので、なおさら美味しかったです。

気づき 

この少弐山城は、特に市の指定史跡でもありません。これだけの素晴らしい竪堀があるのに、非常に残念です。市の考え方や条件があると思いますが、整備すれば、立派な観光資源だと思います。この山城は、高速道路で遮断されていますが、さらに上へと城塞群が続きますので、楽しめる山城でした。

免責

本記事は登城時の一次体験記録に基づいて構成しています。未整備のため、季節・天候・倒木等で状況が変わる可能性があります。安全装備(地図等)を前提に、無理のない範囲で行動してください。

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