富山

松倉城(富山県魚津市)|支城群が描く「アルテミスの首飾り」

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W3 ★★★

越中松倉城の山上の風景写真

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
・麓からじっくり登れば、汗ばむ登りと稜線歩きが続く「ほどよい達成感」の山城ハイクになる。
・山上では日本海と魚津の町並みが一望でき、登り切ったあとにふっと肩の力が抜けるような解放感を味わいやすい。

② 遺構の固有性
・本丸そのものよりも、周囲に散りばめられた支城群が印象的で、「首飾り」のように本城を取り巻く構えが特徴的。
・曲輪・土塁・堀切が山稜沿いに連続し、規模の大きさで守る「ダイナミックな山城ネットワーク」を体感できる。

③ 景観・地形の固有性
・早月川と角川に挟まれた高まりに築かれ、山上からは扇状地と日本海を一望できる「山と海をつなぐ眺望」が魅力。
・谷と尾根が幾重にも入り組む地形に支城が点在し、地形そのものが防御線になっている様子を地図と見比べながら楽しめる。

縄張り図 現地看板

松倉城縄張り図の現地看板の写真
連郭式縄張りを示す説明板の写真

う~ん、なかなかな連郭式ですね~。

現地レポート

松倉城の登城道入口の写真

7月ということもあり、この日も暑い

八幡堂平

八幡堂平の曲輪周辺の写真
八幡堂平に残る石垣の一部の写真

確かに石垣らしきものはあるものの、シダ類で見えないですね

石の門

石の門と呼ばれる岩の門状遺構の写真

名前のまま、石の門があります。

大見城平に到着

大見城平曲輪周辺の写真

大見城平には、有力武士が住んでいたとのこと。本丸の近くに住むというのは、お隣の七尾城や観音寺城と同じパターン

室町末期や戦国初期の城は、主従関係が縦よりも横の繋がりの方が強いような気がします

大見城平の説明板と周辺の様子の写真

土塁

松倉城の土塁遺構の写真

山頂駐車場~本丸

山頂駐車場付近の様子の写真

山頂の駐車場にまで上がって来ました。

山頂駐車場から本丸方面への登城道の写真

ここから本丸まで20m 近い。ここまで車で来ることもできるのです。

本丸まですぐ

本丸直前の登城路の写真

眺望

本丸から望む魚津の町と日本海の眺望写真

なんという眺め!魚津の町と日本海が遠く見通せます!

戦国庭園?

戦国庭園風の平場と石組みの写真

これは、庭園跡でしょうか?戦国庭園風です。整備されてる感じがします。

二の丸 地名の通りに遭遇

二の丸周辺の削平地の写真
山城Q
山城Q

????

二の丸にやってきましたが、この削った感じは何??と思っていた矢先。奥から・・・

二の丸で出会ったカモシカの写真
二の丸周辺の植生と斜面の写真

こっちに気が付いた

こちらを振り向いたカモシカの写真
山城Q
山城Q

天然記念物 カモシカ!!

なんという足の筋肉!初めて見ました。

山城Q
山城Q

ヤバい、目が合った!

そういえば、ここの地名は、魚津市鹿熊字城山 別名:鹿熊城

山城Q
山城Q

そんな城の名前ってある!?

各土塁と堀切

松倉城の大堀切の写真

大堀切

土塁に囲まれた曲輪内部の写真

土塁に囲まれた場所もあります

高い切岸斜面の写真

高い切岸

四の丸の大きな堀切の写真

四の丸 堀切。ここが最大の堀切でしょう。

のろし台(平ノ峯)に向かうも

のろし台方面へ向かう山道の写真
のろし台手前の茂った登山道の写真
山城Q
山城Q

ここで、茂みでガサガサ音がなる!

ここで身の危険を感じ転進しました。

ちょっと、さっきのカモシカ遭遇で危険度UPしました。越中三大山城。。。その名の通り、松倉城自体は、造りが大規模です。しかし、特に技巧的ではなく、正直、少々物足りませんでした。

そして、疑問

ここまで見学してみて思ったことは、確かに土塁や堀切は大きくかなりの土木量ではあります。しかし、

山城Q
山城Q

なぜ、こんなに作りがザックリなのだろうか。

と感じたのでした。巨大なのに技巧的な部分がほとんどない。

首飾りが本城を守る

そこで、今一度、地形を見て調べてみました。すると

松倉城と周辺支城の配置を示す地形図の画像
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能)
山城Q
山城Q

なんと!

早月川と角川に囲まれた松倉城周辺の地形図の画像
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能)

早月川と角川の二本を水堀。その周辺を、多くの支城を備える本城だったのです。これはすごい。九州の大分県に佐田城という本城を砦で囲んだ城や、城郭群はありますが、これだけ「密」なのは珍しい。

規模が全く違います。なので、本城である「松倉城」はこのダイナミックな城造りで良いのです。初めから支城も回っておけば、また本城の印象も違ったと思います。ここは、セットで回ることをお勧めします

山城Q
山城Q

本城なんですから 堂々としていれば良いのです

駐車場 アクセス

本丸下まで車で侵入できますが、今回は、麓から登っていきたいと思います。場所はちょうどここです。

松倉城と支城群の位置関係を示す地形図の画像
引用元:国土地理院ウェブサイト(当該ページ)を当ブログ管理者Qさんが加筆修正したものである(スマホで拡大可能)
山城Q
山城Q

飛騨高山にも松倉城がありますので、注意

今回も麓から歩いていきます。近場の各川ダムの空きスペースに車を停めて、いざ出発!

各川ダム付近から見た松倉城登山口周辺の写真

日本人は、なぜ「三大〇〇」が好きなんでしょうか。今回、越中

この城の概要

・越中東部を押さえるために山稜上に築かれた中世山城で、麓の集落や街道、扇状地と日本海を広く見張ることができる位置にある。
・本丸そのものよりも、周囲に配置された複数の支城・砦を含む「広域防御ライン」としての性格が強く、越中を代表する規模の山城と評価。

山城ACTレベルと山城Wレベル

山城ACTレベル
標高431mの城山で、麓から本丸までの累積標高差はおおむね400m前後と中級クラスの負荷です。
麓から本丸を経て城域を一周すると歩行距離は6〜7kmほどになり、急斜面や細い尾根道、小さなアップダウンが続きます。

山城Wレベル
麓からじっくり登るプロセスと、山上で日本海と魚津の町並みを一望する時間のギャップが大きく、登り切った瞬間に意識が一段切り替わる没入感のある山城です。
本丸だけでなく周囲の支城群をたどることで、谷と尾根に連なる「首飾り状の防御線」を身体感覚でなぞるような体験が生まれます。
山・川・海が一度に視界に入る眺望と広域の縄張構成が重なり、下山後もしばらく地形と歴史のつながりを思い返したくなる深度からW3としました。

主なルート
・各川ダム付近の簡易駐車スペース → 登山口 → 大見城平・二の丸を経て本丸 → 城域周回(所要約3時間)
・山頂駐車場 → 本丸(往復10分前後)

累積標高差と所要時間
累積標高差:約400m / 所要時間:約3時間(麓から城域一周の場合)

地形の特徴
早月川と角川に挟まれた尾根上に主郭と曲輪群が並び、急斜面と谷を天然の堀としつつ、支城群が首飾りのように本城を取り巻くダイナミックな構成になっています。

地形・地質のポイント

・比較的硬い岩盤が露出する尾根上に主郭部が置かれ、早月川・角川に刻まれた谷と急斜面が天然の堀として機能する地形を活かした構えになっている(谷と尾根の組み合わせに支城を並べ、本城を首飾りのように守る配置が特徴)。

アクセス・駐車場

車の場合
・北陸道「魚津IC」から角川ダム方面へ進み、ダム付近に簡易駐車スペースあり(麓ルート)。
・時間短縮するなら、本丸直下の山頂駐車場まで車で上がり、短時間で本丸へ。

公共交通の場合
・あいの風とやま鉄道「魚津駅」からバスで山側集落へ。そこから徒歩で登山口へ向かう。
・本数は少ないため、事前確認推奨。


周辺観光・温泉(地域共鳴)

温泉|金太郎温泉(魚津市)

立山連峰を望む日帰り入浴施設。登城後の疲れをゆるめる立地として相性がよい。
泉質:含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性・中性・高温泉)

【一般的適応症(温泉法)】
慢性の筋肉・関節痛、冷え性、疲労回復、健康増進など
※いずれも一般的目安であり、効果を保証するものではありません。

グルメ|魚津漁港周辺の海鮮定食

ホタルイカや白エビなど地元食材を使った刺身・焼き魚定食がおすすめ。登城後でも胃にやさしい。

名所|魚津埋没林博物館

国の特別天然記念物「埋没林」を展示。松倉城からの眺望とあわせて、魚津の地形と歴史のつながりを立体的に感じられる。


まとめ

・松倉城は、支城群との連なりによって形成された「首飾り状の防御線」が際立つ山城である。
・麓から登れば適度な登りと稜線歩きが続き、日本海を望む眺望と広がりある縄張が、地域を俯瞰する視点を与えてくれる。
・下山後は温泉や海辺に立ち寄り、山・川・海がつながる土地の物語に静かに触れたい。日常から一段引いて、自分の時間を整える場として心地よい山城である。

【免責】

本記事は個人的な体験・調査に基づくものであり、効果や歴史を断定するものではありません。訪問時は必ず最新の交通情報・登山道情報・施設情報をご確認ください。

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