熊本

宇土古城(熊本県宇土市)|古代の館を継ぐ丘城

山城ACTレベル:初級 ★☆☆
山城Wレベル:W1 ★☆☆

山城ウェルネス

山城ACTレベル
比高の小さい丘城で、駐車場から主郭までは片道10〜15分ほどです。写真を撮りながらゆっくり歩いても、城域全体を一周しておおむね1時間前後。急斜面や長い登りが少なく、山城初心者でも体力的負担は小さめです。

山城Wレベル
段郭と空堀、復元冠木門、本丸の柱跡など、中世城の要素がコンパクトに並び、落ち着いたペースで「城の全体像」をイメージしながら歩けます。地形がなだらかなため呼吸が乱れにくく、会話や想像を楽しみながら巡りやすいことから、WレベルはW1(★☆☆)としました。

主なルート
・駐車場 → 遊歩道 → 段郭・空堀群 → 本丸(復元冠木門・柱跡)を周回

累積標高差と所要時間
累積標高差:未計測 / 所要時間:城域全体の周回でおおむね40〜60分

アクセス・駐車場

所在地:熊本県宇土市
アクセス:JR宇土駅から車で約10分。熊本市中心部からは約40〜50分。
駐車場:城山公園周辺に無料駐車場あり。
登城口:駐車場から遊歩道が伸びており、案内板に従って段郭・本丸へ向かう。

現地レポート|ルートと見どころ

宇土古城 登城口付近の遊歩道と案内板

丘の上にあり、古典的なスタイルです。しかし、古墳時代から使われており、首長の館も存在したとか。もともとそういう場所なんでしょう。

この宇土古城の城主は、もともとは宇土氏だったそうですが、1504年頃に人吉の相良氏に攻められた八代の「名和氏」が入城し、その後80年治めたのですが、1588年に小西行長が治めたとのこと。

謎の空堀の仕切り

宇土古城 本丸近くに残る仕切り付きの空堀

早速、謎を見せてくれます。この仕切りはなんでしょうか。まさか、障子掘り。。。ではないでしょうし。

宇土古城 空堀の内部を斜めから見た様子
宇土古城 空堀内に残る岩と土塁の配置

間に岩がおかれていたり。仕切られていたり。。。このような形状だったのか、意図的に残したのか。不明。

切岸と段築曲輪

宇土古城 段築曲輪と切岸の斜面

本丸門の坂

宇土古城 本丸門へ続く坂道と土塁
宇土古城 復元された冠木門の様子

冠木門が復元されています。

本丸内

宇土古城 本丸内部の平坦面と柱跡
宇土古城 本丸に残る柱跡列のアップ

典型的な門の作りというか古風です。

本丸の空堀

宇土古城 本丸周囲を巡る空堀の内側
宇土古城 本丸外側から見た空堀と土塁

周辺も丁寧に空堀に囲まれていますが、防御としては控えめに見えます。

宇土古城 段築曲輪が段状に連なる様子
宇土古城 段築曲輪の平坦面と斜面

段築曲輪が綺麗に残っています。和水の田中城のような感じです。

宇土古城 本丸の柱跡と説明板
宇土古城 本丸周辺の柱跡群を別角度から撮影
宇土古城 本丸の柱跡と周囲の樹木

時期をかえて撮ってみました。柱跡から建物の規模が分かります。

遺棄された謎の宝篋印塔 五輪塔

山城Q
山城Q

あんまり見ない。

宇土古城に残る宝篋印塔・五輪塔群の全景
宇土古城 宝篋印塔・五輪塔の近景

さて、一番興味深かったのは、この宝篋印塔 五輪塔群です。なんでも、説明書きには「城割の際に遺棄された」と書かれていました。

山城Q
山城Q

なぜ、そんなことが行われたのだろう??

宝篋印塔や五輪塔は、もともとお墓というより「供養」や「功徳を積む」ために建てられる塔です。中世の宗教観では、塔を多く建てるほど功徳が積まれると考えられていたとも言われ、そのため多数の塔が造立された地域もあります。

一方で、この場所の五輪塔群が「なぜ」「どのような意図で」遺棄されたのかは、現地の説明だけでは読み切れません。ここは、説明板の記述を手がかりにしつつも、断定は避けて受け止めておくのが安全だと思います。

(参考)宇土には小西行長が近世宇土城を築いた時期があり、地域の歴史背景としてさまざまな要素が重なります。ただし、宇土古城の城割と宗教的要因を直接結びつける説明は、ここでは控えておきます。

この城の概要

宇土古城は熊本県宇土市の丘陵上に築かれた中世の城で、南北朝〜戦国期には宇土氏・名和氏ら在地領主の拠点となりました。

段郭主体の構造が特徴で、本丸周辺には空堀や門跡が残ります。古墳時代の首長居館跡とみられる遺構もあり、古代から中世にかけて政治的中心地が重なった場所とされています。

宇土市にある二つの「宇土城」

小西行長が作った「近世宇土城」
宇土氏や名和氏の「宇土古城」

と分けています。実際には、宇土城は宇土新城を指します。

地形・地質のポイント

宇土古城は独立丘陵の上にあり、段郭と空堀が見やすい形でまとまっています。台地縁の高低差を使いながら、城域を段状に整えていったことが分かりやすい地形です。

宇土古城周辺の地質図(日本シームレス地質図V2を加筆)
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
短時間で本丸まで登れるなだらかな丘城で、整えられた段郭をゆっくり歩きながら「中世の館跡を散策する感覚」を味わえます。

② 遺構の固有性
連続する段郭や丁寧に掘られた空堀、復元冠木門、本丸周辺の柱穴列などがまとまって残り、「典型的な中世丘城のかたち」を一望しやすい遺構です。

③ 景観・地形の固有性
丘陵上に築かれた城で、周囲の低地との比高がほどよく、日常の延長で「台地の縁から平野を見下ろす視点」を体験できます。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

歴史・景観スポット:御輿来海岸(おこしきかいがん)

御輿来海岸 干潮時に現れる砂紋と夕景

宇土半島北岸に広がる御輿来海岸は、干潮時に現れる美しい砂紋と有明海に沈む夕日で知られる景勝地です。

「日本の渚百選」「日本の夕陽百選」にも選ばれており、潮の満ち引きと光がつくるグラデーションは、城跡散策とはまた違う「時間のうつろい」を感じさせてくれます。

御輿来海岸 高台から眺める干潟と夕日

海風に当たりながら遠くを眺める時間を組み合わせると、気分の切り替えがしやすくなります。

山城Q
山城Q

感動しますよ

日帰り温泉:宇土市健康福祉館 あじさいの湯

宇土市内にある「あじさいの湯」は、地元の方にも親しまれている日帰り入浴施設です。内湯・露天風呂・サウナなどが揃い、落ち着いた雰囲気の中でゆっくり温まることができます。

登城後に立ち寄って、行程を区切りやすいのも良いところです。宇土古城と組み合わせれば、「歴史散策+温泉」で一日の流れが作りやすくなります。

免責

本記事の内容は、管理人による現地訪問・公開資料をもとにまとめたものであり、歴史解釈や地質・温泉効果などを断定するものではありません。訪問時は最新情報をご確認のうえ、体調や安全に十分ご配慮ください。

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