熊本

古麓城(熊本県八代市|南朝の名門名和(なわ)氏が築いたシンボル的城群

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W3 ★★★

古麓城の城域に入る尾根道の風景

山城ウェルネス

山城ACTレベル:中級★★☆
登城時間は約1時間30分。登りと尾根歩きが中心で、道は比較的分かりやすく、致命的な判断負荷は発生しません。継続的な歩行体力は求められますが、技術的難易度は中級止まりです。

山城Wレベル:W3(★★★)
堀切・郭・尾根の切り替わりが明確で、城域の構造が段階的に理解できます。主郭部での眺望が、これまでの防御配置と地形関係を一気に結び付けます。単発の見どころではなく、歩行の積み重ねによって意味が成立する構成です。

主なルート
古麓稲荷神社 → 四重堀切 → 鷹峰城 → 新城(主郭部)

累積標高差と所要時間
累積標高差:未計測
所要時間:約1時間30分

アクセス・駐車場

春光寺をドンドン登ると、駐車場があります。普通車可能。

現地レポート

古麓城の遠景(城山全体の輪郭が分かる)
古麓城の遠景

古麓城は、宣教師ルイス₌フロイスも絶賛した山城。

古麓稲荷神社

古麓稲荷神社の登城口付近(登り始めの雰囲気)

この山城は、少し特徴的。古麓稲荷神社の参詣道が続きます。

古麓稲荷神社の参道に続く朱塗りの鳥居

稲荷で良く観る赤い鳥居をくぐると

奥之院

古麓稲荷神社 奥之院の祠と周辺の様子

奥之院に到着。

四重堀切

古麓城の四重堀切(連続する堀切の一部)

すると、四重堀切という強固な防御拠点があります。

古麓城の四重堀切(堀切の段差と切れ込みが分かる)

実は、ここは、なんとなく勘で発見しました。「なんか怪しい」と見つけられて、本当にラッキーでした。なかなか見事です。

(中間分岐点)鞍掛大明神

古麓城 鞍掛大明神の祠(合流地点の様子)

先ほどの古麓稲荷神社経由と、四重堀切道経由の合流地点に鞍掛大明神。これは、在地の神様。

つまり、ここからが城域。このパターンは能登半島の七尾城でも観たことがあります。やはり、このクラスの本城となると、殿様への謁見の際には、名前の通り、ここで身を整える必要があったのでしょう。

鷹峰城

鷹峰城の郭跡(鉄塔が立つ区画)

一つに郭を潰して、鉄塔が立っていました。城というか、曲輪の一つですね。

新城 いよいよ主郭部へ

新城へ向かう尾根道(主郭部へ続く区間)
新城周辺の城内風景(尾根上の通過点)
新城の郭跡(主郭部手前の区画)

登り始めて、一時間で新城へ。ふらふら見ていたので、多少に時間がかかりました。こういった説明文は、出来たら城の麓に欲しいところ。古麓城だけに。

眺望

新城主郭からの眺望(球磨川と八代湾方向を望む)

本来、新城跡主郭からの眺望は絶景。エメラルドグリーンの川底を持つ球磨川を眼下に望み、八代湾に抜ける河口は、私の山城経験でも屈指の風景美です。市街地も近い。ルイス₌フロイスの感想にも納得。

ただし、もう少し、雑林が少なければ。。。

蔵屋敷跡

蔵屋敷跡の尾根上(笹が生える区間の入口)
蔵屋敷跡の笹林(尾根上に突然現れる笹の密生)

このような笹林が尾根部の蔵屋敷跡に突然生えてます。これは、弓矢の材料ではないかとどの場所でも言われています。過去に、山梨の岩殿山城に登った時も、こんな感じでした。

この城の概要

古麓城(ふるふもとじょう)は、熊本県八代市古麓町の飯盛山・丸山・古麓山などの丘陵(標高93~143m)に築かれた中世山城で、八代城跡群(古麓城跡・麦島城跡・八代城跡)の一つとして国指定史跡です。

建武年間(1334年頃)に南朝方・名和氏の一族内河義真が八代荘支配の拠点として築き、以後名和氏・相良氏が拡張・使用し、七つの城塞(曲輪群)からなる複合城郭となりました。

天正15年(1587年)の豊臣秀吉九州征伐後、相良氏が人吉へ移り廃城となり、現在は堀切・竪堀・曲輪・土塁などの遺構が良好に残る山城跡で、登山道も整備されています。

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
稲荷から主郭部へ向かうまで、静かな尾根歩きが続きます。登城路は明瞭で、尾根歩きが中心となります。急激な判断負荷は少なく、一定の歩行リズムを維持したまま城域へ入っていける構成です。体力は必要ですが、危険度は抑えられています。

② 遺構の固有要素
四重堀切をはじめ、郭・堀切・尾根の分断が連続して現れます。個々の遺構が点在するのではなく、城域全体として防御構造が組み立てられていることが、歩行の中で把握できます。

③ 景観・地形の固有性
主郭部では視界が大きく開き、球磨川と八代湾方向が一望できます。尾根上で積み重ねてきた構造理解が、眺望によって一つに統合される地点です。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

温泉
日奈久温泉は、八代市南部にある歴史ある温泉地です。
古麓城から市街地へ下る動線上に位置し、登城後に立ち寄りやすい距離感にあります。

山城Q
山城Q

大好きアルカリ単純泉!

泉質はアルカリ性単純温泉で、昔ながらの共同浴場や小規模な宿が点在しています。
観光地化が強すぎず、城歩きの延長として静かに利用できる温泉です。

近場の「麦島城へ」

近くに、八代城跡群(古麓城跡 麦島城跡 八代城跡)を構成する「麦島城」があります。

麦島城跡の現地風景(城域の一部が分かる地点)
麦島城跡の案内・遺構の様子(現地で確認できる範囲)
麦島城跡の遺構(平坦地と残存要素の雰囲気)

しかし、遺構を示すものはこの程度なんです。元和(げんな)元年(1615年)の地震で倒壊したとのこと。そのあとに、八代城が出来ました。石材などは、八代城に運ばれたのかもしれません。

免責

本記事は、現地での観察メモをもとに整理し、筆者なりの解釈を加えた記録です。史実の正確性を保証するものではありません。また、整備状況・所要時間・交通手段・施設情報等は変更される可能性がありますので、訪問の際は必ず最新情報をご確認ください。

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