新潟

春日山城(新潟県上越市)|越後最大の「山岳城郭」を歩く

春日山城の全景(春日山神社側から望む山並み)

この山城の魅力|3つのポイント

1.雄大でおおらかな「全山山城」を歩く体験
春日山全体に曲輪と屋敷跡が広がり、春日山神社から本丸・直江屋敷・千貫門跡まで「見渡す限り春日山城」というスケール感を味わえます。

2.大きな屋敷跡と連続する段郭の迫力
南三の丸・柿崎和泉守屋敷・直江屋敷などの広い屋敷跡と、斜面にびっしり続く段郭、空堀や巨大な井戸がつくる「土の城」のダイナミックさを体感できます。

3.本丸から眺める日本海と高田平野
本丸天守台跡から高田平野と日本海を一望し、「ここまで登ってきた」道のりを振り返りながら、ふっと力が抜けるような眺望の時間を過ごせます。

今回は、ゆっくりハイキング

春日山城周辺の地質図(産総研シームレス地質図を山城Qが加筆)
引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日),https://gbank.gsj.jp/seamless より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

今回は、春日山神社手前の駐車場に車を停めて、いざ登城。下調べの段階で、本丸にはいくつものルートがあることが分かっていたので、目一杯の時間を確保して、ぐるりと周遊してみることにしました。

春日山神社前の駐車場〜大手道入口〜番所跡〜南三の丸屋敷跡〜柿崎和泉守屋敷跡〜御成街道〜景勝屋敷跡〜井戸曲輪跡〜油流し〜天守閣跡〜本丸からの眺望〜護摩堂・毘沙門堂〜直江屋敷跡〜虎口跡と堀切〜千貫門跡まで。

現地レポート|ルートと見どころ

春日山城の現地案内板に描かれた縄張り図

春日山城 大手道入口へ

まずは、神社前駐車場から南下し、春日山城大手道入口へ。ちょっと歩きます。

春日山城 大手道入口の案内板と周辺の様子
春日山城 大手道入口付近の里山風景

とにかく広大な山城で、この辺りの雰囲気などは、本当にのどかです。

山城Q
山城Q

とても雄大!

なかなか表現しづらいですが、「ホッと」できる場所。それが春日山城。ちょうど時期的に雪解けなので、水の音がチョロチョロ聞こえて、歩いているだけで気持ちがゆるむような時間でした。

春日山城 大手道沿いの沢と雪解けの様子

高い土塁の番所跡

春日山城 番所跡の案内板
番所跡
春日山城 番所跡に残る高い土塁
春日山城 番所跡周辺の山道と残雪

結構、残雪が残っていました。いつも登山靴で登りますので問題はありませんが、固まっていると滑るので注意が必要です。

春日山城 残雪の残る山道

そんな時、たまにこんな道があるとホッとします。

春日山城 歩きやすい土の山道

段郭が下まで続いています。

春日山城 斜面下まで続く段郭のようす

この切通は厄介。雪渓のようになっていて、とにかく歩きにくい歩きにくい。結局、雪で濡れましたけど。。。

南三の丸屋敷跡

春日山城 南三の丸屋敷跡の雪原
春日山城 南三の丸屋敷跡周辺の斜面

重要な場所のようですが、見る限りは雪原で、「もう何が何やら」という感じです。雪も降り過ぎると、ざまあないですね。

春日山城 南三の丸屋敷跡から見た雪に覆われた曲輪

柿崎和泉守屋敷跡

春日山城 柿崎和泉守屋敷跡の広い曲輪
春日山城 柿崎和泉守屋敷跡から見下ろす段郭

ここからも下まで続く段郭。この程度の雪なら、しっかり押さえられているので、遺構確認がしやすいです。

御成街道

春日山城 御成街道の山道
春日山城 御成街道の緩やかな登り
春日山城 御成街道の尾根道

ここをちょっと上がると――。

景勝屋敷跡

春日山城 景勝屋敷跡の平坦な曲輪
春日山城 景勝屋敷跡周辺の雪原

重要な曲輪だったということでしょう。

春日山城 景勝屋敷跡周辺に群生するフキノトウ

そして、フキノトウがこんなにも群生していました。

井戸曲輪跡

春日山城 井戸曲輪跡の大きな井戸
春日山城 井戸曲輪跡の案内板と周辺
春日山城 井戸曲輪跡を上からのぞき込んだ様子

この井戸は、超巨大です。井戸曲輪を冠するだけあって、かなり立派。かつて井戸を掃除した時に、いろいろ遺物が発見されたとか。

油流し

春日山城 油流しと呼ばれる急な斜面

油流しというぐらい急な坂でした。決して登っておりません。

天守閣と城址跡

春日山城 天守閣跡の石碑
春日山城 城址を示す石碑と周辺の様子

天守閣からの眺望 見渡す限り春日山城

春日山城 本丸から高田平野方面を望む眺望
春日山城 本丸から見渡す全山山城の景観

ずっと上がってきました。見渡す限り春日山城なのです。なかなか見ごたえのある山城です。

護摩堂とか毘沙門堂とか

春日山城 護摩堂の外観
山城Q
山城Q

上杉謙信は、真言宗だったということでしょう

春日山城 毘沙門堂のたたずまい

上杉謙信といえば、毘沙門堂で数珠片手に、一晩中、火相手に祈っているイメージが強いのです。

それがここ!?

林泉寺 境内の静かな佇まい
林泉寺 上杉謙信公ゆかりの堂

近づいて撮影すると、中はこんな感じでした。ここで「座禅体験1日プラン」とかあれば、応募殺到間違いなし!

林泉寺 境内の石碑と苔むした風景

直江屋敷跡

春日山城 直江屋敷跡の広がり
春日山城 直江屋敷跡の曲輪

ここの縄張りはしっかりしています。「愛」を感じますね。

直江屋敷跡側から本丸方向を望む眺め

直江屋敷側から本丸を見る。こう見ると、「全山山城」というのがよく分かります。

虎口跡と堀切

春日山城 虎口跡の入口部分
春日山城 虎口周辺の堀切

虎口と堀切ですが、この山城の特徴としては、各屋敷跡は大きく、曲輪もしっかりしていますが、あまり技巧的な防御システムは見られません。

千貫門跡

春日山城 千貫門跡への道
春日山城 千貫門跡の曲輪

強いて言えば、この千貫門跡が技巧的な感じです。空堀が確認できます。大手門の逆だから、搦め手門という位置づけだったのでしょうか。

春日山城 千貫門跡周辺の空堀
春日山城 千貫門付近の斜面と空堀
春日山城 千貫門跡の曲輪から見下ろす景観

さて、ぐるりと外周を回ってきました。季節柄にも恵まれ、凛とした空気と春の訪れを感じることができました。

林泉寺 上杉謙信公の墓所は必見

林泉寺 上杉謙信公の墓所入口
林泉寺 墓所へ続く参道
林泉寺 上杉謙信公の墓所周辺の石塔群
林泉寺 境内に並ぶ石塔と灯籠

人によって感じ方はさまざまですが、管理者は、この御墓前に立つと、

山城Q
山城Q

カタガタ身震い

をしました。そして、今、ブログを書いている最中も、この写真を見ると背筋がゾクっとします。

春日山城自体は超巨大山城ですが、ガチガチに凝りに凝った山城というより、どこか雄大で、ゆったりとした印象を受けました。この御墓前に立った時に気が付いたことは、

山城Q
山城Q

これが、カリスマ性というものか

と、ストンと腑に落ちたのでした。つまり、「雄大さ」や「落ち着き」、ゴチャゴチャしたものを削ぎ落とした先に残る「ネームバリュー」「存在感」なのだろう、と感じました。

この城の概要

春日山城は、新潟県上越市に位置する山城で、越後を治めた長尾氏・上杉氏・堀氏の居城として知られます。特に戦国の名将・上杉謙信の居城として名高く、現在は国指定史跡となっています。

春日山そのものと周囲の尾根・谷を含む「全山山城」で、主郭・二の丸・三の丸に加えて、南三の丸屋敷跡・柿崎和泉守屋敷跡・直江屋敷跡などの大規模な屋敷群、番所跡の高い土塁、千貫門跡の空堀や堀切、井戸曲輪の巨大な井戸など、土を主体とした壮大な縄張りが山全体に展開しています。石垣よりも土塁・空堀・段郭が主役の「土の巨城」です。

春日山城は日本100名城(32番)に選ばれた山城です。

~参考~ 日本五大山城
1.春日山城(新潟県)

2.観音寺城(滋賀県)

3.小谷城(滋賀県)

4.月山富田城(島根県)


5.七尾城(石川県)

春日山城 本丸周辺の曲輪と斜面のようす

アクセス・駐車場

・登城口
 春日山神社前から大手道を進むルートが分かりやすく、最も一般的です。史跡広場側から入る周回ルートも選べます。
・駐車場
 春日山神社前に無料駐車場があります。観光シーズンは周辺に臨時駐車場が設けられることもあります。
・トイレ
 春日山神社周辺に公衆トイレあり。城域の山中には基本的にありません。

山城ACTレベル 山城Wレベル

山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W3 ★★★

山城ACTレベルの設定理由
標高は200m未満でも城域が広く、歩行距離は3.5〜4.8kmと長めです。
登り下りが細かく続き、累積標高差は300m前後と適度な負荷があります。
道の整備は良好で危険箇所が少ないため、総合的に★2(中級)と判断しました。

山城Wレベルの設定理由
本丸・柿崎屋敷・直江屋敷・千貫門跡を巡る導線で、谷と尾根、景色が静かに切り替わります。
生活の痕跡が残る屋敷跡が連続し、歩きながら“場の奥行き”を感じます。
歩行後の静かな没入感が深く残るため、W3(深い没入)としました。

主なルート
春日山神社〜本丸〜直江屋敷〜千貫門跡(約3.5〜4.8km)
累積標高差:約300m
所要時間:2.5〜3時間(本丸往復だけなら約1時間)

地形の特徴(1行)
尾根上に段状曲輪が広がり、外周に空堀・堀切群がまとまる構造。

注意点(1行)
残雪期は切通しが滑りやすく、初訪問は時間にゆとりを。

一言補足(1行)
広い城域なので、小まめな休憩を入れると最後まで楽に歩けます。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

■日帰り温泉:釜ぶたの湯(上越妙高駅前の日帰り温泉施設)

上越妙高駅西口エリアにある「釜ぶたの湯」は、駅前で気軽に立ち寄れる日帰り温泉施設です。泉質はナトリウム−塩化物・炭酸水素塩温泉で、内湯・露天風呂・サウナなどを備えています。電車移動と組み合わせて「春日山城+温泉」で一日を締めくくるのにちょうどよいロケーションです。

■グルメ:直江津「レストラン大宝」のタレカツ丼

上越のご当地グルメとして知られる「タレカツ丼」。直江津エリアの老舗「レストラン大宝」は、長年地元で親しまれてきたタレカツ丼とラーメンの店で、国道沿いに新装オープンした店舗は、地元客や観光客でにぎわいます。タレにくぐらせたカツとご飯をしっかり味わえるボリューム感は、春日山城を歩いたあとのエネルギー補給にもぴったりです。

まとめ

初心者・中高年に向く理由
 ・標高はさほど高くなく、整備された大手道を中心に歩けるため、体力に不安がある人でもコース選択次第で無理なく楽しめる
 ・本丸往復だけのショートコースから、外周を含めたロングコースまで段階的にプランを組める
 ・春日山神社や林泉寺など、山歩きの前後にゆっくり滞在できる平地スポットが多く、休憩の選択肢が豊富

ウェルネス総括
 春日山城は、「超巨大な土の山城」をゆったり周遊しながら、静けさ・雪解けの水音・広い空・大きな屋敷跡を全身で味わう場所です。本丸からの眺望や林泉寺での時間、下山後の温泉やタレカツ丼まで含めると、一日を通して心と体のペースを整えやすい「山城ウェルネス」のモデルコースといえます。

【免責】

本記事は個人的な体験・調査に基づくものであり、効果や歴史を断定するものではありません。訪問時は最新情報をご確認ください。

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