基本情報
形態:山城
史跡指定:国指定史跡
標高:432m
訪問日:2011年6月
~参考~ 日本五大山城
1.春日山城(新潟県)
2.観音寺城(滋賀県)
3.小谷城(滋賀県)
4.月山富田城(島根県)
5.七尾城(石川県)
実際に訪問してみて、感じた疑問点
観音寺城の岩石について
観音寺城には、大量の岩石を使った石垣が作られております。さながら巨大古代遺跡にようで、見る者を圧倒します。
ちなみに地質図を見ると、この三城は同じ「流紋岩(ピンク)」です。「観音正寺」裏に祭られていた
大量の仏様。では、これらの岩石はどこからやってきたもので、どうやって出来たのか気になって仕方がありませんでした。
そこで、ちょっと調べました
滋賀県「県の石」である「湖東流紋岩」
これらの岩石は「流紋岩」であるということが分かりました。
流紋岩とは、マグマが地表で急速に固まった「火成岩」に分けられ、「火山岩」に属します。流紋岩の字の通り、「流理構造」を持つ縞模様が多いわけです。
しかし、この観音寺城の岩石を見ると、そんな縞模様には見えなかったので疑問に思ったわけです。
その答えが
湖東流紋岩というブランド
こちらの小学生向けのページに詳しく載っております。(小学生向けのため、たいへんやさしく書かれております)
つまり、溶結凝灰岩様、花崗岩様も含まれるとのこと。溶結凝灰岩となると、超巨大噴火を起こしカルデラが出来るレベルです。例えば、九州の「姶良カルデラ」や「ASO-4火砕流帯」といった
このクラスだということです。しかし、九州地区ならまだしも、この関西地区に火山はありません。そこで、地質図を見ればあることに気が付きました。
湖東コールドロン(陥没盆地)って何!?
なんとなく、色分けされてうっすら確認することができます。そこに、円をあてはめると、鮮明になります。
今から7000万年前に超火山により大爆発した際に出来た「コールドロン(陥没盆地)」がこの3つの輪です。3回程度の大爆発があったということでしょう。点線の輪に「湖東コールドロン(陥没盆地)」で
湖東流紋岩(薄いピンク)が分布。
その外枠実線に「琵琶湖コールドロン(陥没盆地)」で花崗岩(濃いピンク)群が分布しています
規模は、阿蘇カルデラや姶良カルデラに匹敵しますね!
溶結凝灰岩は火砕流によって出来る。火成岩と堆積岩のハイブリッド岩石なのですが、湖東流紋岩は、実際は溶結凝灰岩ということが分かりました。巨大なコールドロン(陥没盆地)に火砕流が堆積し、
ついには、溶結凝灰岩になったのだと思います。
信長さんもチャート岩石主体の岐阜城よりも、溶結凝灰岩主体の安土地方の方が山城も造り甲斐があったでしょうね!
スッキリ!
参考文献:
杉井完治 琵琶湖周辺の花崗岩を歩いて40年 地学教育と科学運動86号(2021年 6 月)
西川一雄ほか 湖東 流紋岩 お よび その火成活動 について 岩石鉱物鉱床学会誌77, 51-64, 1983
地質ニュース編集委員会 地質ニュース 地名と地学 安土と安土城 第581 2003年 1月号
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