山城ACTレベル:中級 ★★☆
山城Wレベル:W2 ★★☆

※現在「殿の道」は石垣保護のためルート自粛制限中。危ないです。
この山城の魅力|3つのポイント
景観・地形の固有性
深い谷と急斜面を抱えた山上に城域が広がり、山頂からは高尾山系と市街地を一望する“都市近郊とは思えない”眺望が得られる。
体験価値(ウェルネス)
御主殿の滝へと至る道のりが、静けさと適度な緊張感を伴う“歩く瞑想時間”を生みやすく、心と体のリズムを静かに整えてくれる。
遺構の固有性
砂岩を用いた四段石垣やアゴ止め石、再現曳橋など、北条流の石垣技術と御主殿空間の組み合わせが独特。
現地レポート

関西地区からは、かなり遠くなかなか行けないですが、一度は訪問するべき城だと思い時間を作りやって来ました八王子城。しかし、2012年頃は、今ほどインターネットも発達しておらず、あんまり情報がありません。
とりあえず、高尾駅で降りて、同じ登山の格好をしたハイカーはたくさんいるけど、私は一路、八王子城へと別方向に進んだのでした。

何かの予兆か、、、この日、電車とタクシーを乗り継いで、この入口に到着した途端に、非常に激しい腹痛に見舞われる。トイレからしばらく出てこられませんでした。。。

前日の食事で当たったのかなあ??
と思い、気を取りなおして、登城。御主殿曲輪の奥に、石垣が見えるルートがあるとのことで、そこから主郭へ上がろうと思っていました。

御主殿曲輪までのルートは整備されており、スムーズです。

あれが、目指すべき山頂ですね
再現された曳橋(ひきはし)

石垣と橋が見えてきました。滝川城にもありました。

幅も広いですね

本来は、もっと簡素な造りだったそうですが、風景にマッチした立派な橋です。
橋台石垣から御主殿曲輪



この案内写真は、貴重ですね。このように組まれていたんですね。砂岩を利用したと書かれています。


ここの石垣は、他ではあまり見られない気がします。野面積みですが、規則性はなく積み上げた感じがします。

特にこの階段遺構。防御を意識したというよりもお寺の通路という印象を受けます。御館の手前の重要な箇所ですが、一つ一つの段差が低く、容易く登ることができます

織豊系城郭のようなガチガチ石垣防御システムというよりも、どこか、安土城のような見せ方を意識した雰囲気です。
となると、このような政情不安定な土地では、相応しくないかもしれませんが。


でも風景は、とてもキレイです
初めての経験。。

これまで、過去にいくつもの山城を登城してきました。しかし、良く考えてみれば、本来その場所は、400年ほど前に命を懸けた激しい戦いや争い。
そして、結果的に落城したりした場所になります。今でこそ、何も残っていませんが、この時、ちょっと油断していました。

。。。。。。。
ふと、何か「キーーーーン」と耳鳴りがする。すごい緊張感が辺りにあることに気が付きました。加えて、水の流れる音、落ちる音だけがやたらはっきり強調されて聞こえてくる。
そちらの方が気になり、曲輪の縁にまで歩を進めました。

下に何かあるぞ。
ここが「御主殿の滝」

うわ~、何かウワサがある滝のことは、多少に知ってたけど

ここですか。。。

特に、なぜか木の根元が非常に気になる。あと、この高台。上がったらダメのような気がしたけど

ちょっと登ってみました
覗き込んでみる

その時の同じ角度から同じ風景を見ている。う~~ん。ここは上がらない方が良いです。やめときましょう。とにかく空気が張りつめている。

気を取り直して、殿の道へ
※現在「殿の道」は石垣保護のためルート自粛制限中。危ないです。

先ほどの御主殿曲輪に戻り、そのまま西に直進しますと

このような茂みに突き当たります。案内など何もないです。でも、たぶんここだと思い突き進む

砂岩によるガレ道で登りづらい。ソールが硬い登山靴は、必要ですよ。革靴などは全くダメです


お!!

10分ほど登ると、これがその四段石垣の始まり。よくも、このような急斜面に組んだものです。
アゴ止め石という技法


この右端の一番下。平らな石が「アゴ止め石」というもの。北条家の貴重な石垣築城術の一つ。これがあるから、急斜面でも組むことができたのでしょう。
でも、この技術は他家ではあまり見られないので、どこの石工集団の技術なんでしょうか。それを探れば築城ルーツが分かりますね。
特に、この「アゴ止め石」は、古代山城でも使われている技術です。系譜的には繋がっていないでしょうが、このような不安定な場所では考えることは同じなのかもしれません。

二段になっています。本当に、スゴイ。明確な場所を示す地図などないので、山中に目を凝らしながら登ります。すると、スッと現れる!というか気が付く。この崩落度合がソソラレマス
やってきた目的は「氏照の腰掛岩」!

ここの石垣も二段!しかも、ちょっと広い敷地です。そして、この大きな岩

に、腰掛ける!ちょっと一息でティーテイム

このために、わざわざやって来ました
御舘から、ここまで登るのって結構ハード。20分ぐらい登ります。そんな道すがら、こんな素敵な腰掛岩があったら誰でも絶対に腰掛ける。
しかも、周辺を見回すと、土器の破片が散乱。陶器の器や皿ということは、絶対にここで、休憩している。氏照


さらに、その上に行く道があります。が、石垣崩落が進んでいます。個人的判断で、これ以上は行かない方が良いと思いそのまま下山しました。
初期の目的は達成することができましたので初っ端になんかトラブルがあったので、いつの日か

リベンジします
独特の雰囲気がある 砂岩石垣は美しい
※現在「殿の道」は石垣保護のためルート自粛制限中。危ないです。
アクセス・駐車場
- 最寄駅:JR中央線「高尾駅」
- バス:
- 高尾駅北口から西東京バス「八王子城跡」行きで約15〜20分、「八王子城跡」バス停下車。
- 御主殿方面の案内板に従い徒歩で登城口へ。
- 自家用車:
- 圏央道「高尾山IC」から一般道経由で約10分前後。
- 八王子城跡付近に整備された無料駐車場あり(台数に限りあり、連休は早い時間が無難)。
- トイレ:
- 管理棟・御主殿跡付近に公衆トイレあり。山中にはトイレがないため、登城前に必ず利用しておきたい。
- 注意点:
「殿の道」周辺は石垣保護のため立入自粛・通行制限が行われている。最新の立入状況・登山ルートは、現地案内板や公式情報で事前確認を推奨
この城の概要
八王子城は、戦国時代末期に北条氏照の居城として整備された大規模な山城であり、豊臣軍の攻撃により落城したことで知られている。御主殿と山上の詰城が一体となった構造をとり、砂岩石垣や曳橋などの遺構が残る国指定史跡で、日本100名城にも選定されている。
山城ACTレベルと山城Wレベル
山城ACTレベル:中級 ★★☆
本丸付近は標高約440m、登山口からの比高はおよそ250mで、御主殿から主郭までの登り返しもしっかりあります。全体の歩行時間は寄り道を含めて約2時間前後で、急斜面の砂岩ガレ場や細いトラバース道では足元への集中が必要です。ソールの硬い登山靴を前提に、自分のペースを守れば一般的な中高年でも楽しめる中級クラスといえます。
山城Wレベル:W2 ★★☆
御主殿跡から滝、四段石垣、主郭・山の神曲輪へと進むにつれて、景色と空気感が少しずつ切り替わっていきます。静かな谷筋や滝の水音、山上からの眺望が緊張とゆるみを交互に運び、城跡全体への没入感を高めてくれます。都市近郊でありながら、下山後もしばらく情景が残るタイプの山城として、W2と評価しました。
主なルート
・管理棟・御主殿跡 → 御主殿の滝(往復約30〜40分)
・御主殿跡 → 主郭・山の神曲輪(往復約1時間30分〜2時間)
累積標高差と所要時間
累積標高差:約300〜400m / 所要時間:全体で約2時間前後
地形の特徴
急斜面の砂岩ガレ場と崩落が進んだ石垣斜面、谷沿いの細いトラバース道が組み合わさる、変化の大きい山城地形です。
地形・地質のポイント

近場の滝山城と岩層を比較しても違いがわかります。滝山城付近は、砂地であっても礫岩程度
しかし、八王子城付近は、海底で堆積物が作られており、御主殿の橋台石垣や四段石垣などに積極的に活用されている。

砂岩が豊富
滝山城の防御度に憂いた北条氏照が近場で適度な岩石がある山を探したら、ここになったというのは納得できます。
周辺観光・温泉(地域共鳴)
温泉|京王高尾山温泉 / 極楽湯(高尾山口駅前)
高尾山口駅前にある日帰り温泉施設で、登山や城歩きのあとに立ち寄りやすいロケーション。泉質はアルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・低温泉)とされ、肌あたりのやわらかいお湯が特徴。温泉法上の一般的な適応症として、神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復などが挙げられる。
休憩スペースも多く、中高年世代がゆっくり体を休めるのにも向いている。
グルメ|高尾山周辺のとろろ蕎麦
高尾山口〜高尾山エリアには、とろろ蕎麦で知られる老舗店が点在しており、山歩き後の軽い食事に適している。消化に負担が少なく、適度に炭水化物を補給できるため、八王子城と高尾山を組み合わせた一日コースの締めにも選びやすい。
歴史名所|高尾山薬王院
高尾山中腹に位置する真言宗智山派の寺院で、修験道の場としても知られている。城跡とは異なる宗教的・精神的な空間が広がっており、八王子城の戦国史とあわせて「山の信仰と歴史」を感じる周遊ルートを組みやすい。
まとめ
八王子城は、東京都内とは思えない深い谷と砂岩の急斜面に築かれた山城で、御主殿から主郭へと歩くにつれて景観と緊張感が静かに変化していきます。御主殿周辺は比較的歩きやすい一方で、山上へ向かうにつれて登山要素が強まります。
御主殿の滝の空気感や石垣の表情、山の神曲輪からの眺めは、城を「見る」から「感じる」へと導く、静かな山城ウェルネス体験をもたらしてくれるでしょう。
免責
本記事は個人的な体験・調査に基づくものであり、効果や歴史を断定するものではありません。訪問時は天候・登山道・立入規制などの最新情報をご確認のうえ、安全に配慮して行動してください。







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