兵庫

洲本城(兵庫県洲本市)|海を見晴らす「竜宮城天守”」の城

山城ACTレベル:初級 ★☆☆
山城Wレベル:W2 ★★☆

山城Q
山城Q

この日は、大雨の直後で写真少なめ

山城ウェルネス

山城ACTレベルの設定理由
標高差はおよそ100m前後で、距離も2〜3kmほどと短めの行程です。
舗装路と山道が組み合わさりますが、長い急登や危険な岩尾根が続くタイプではありません。
足元に注意すれば、「小さな山歩き」として無理なく楽しめる範囲と判断しました。

山城Wレベルの設定理由
暖帯林に包まれた登城路と、風化した石垣・礫岩がつくる独特の静けさがあります。
山上から港町と海を見下ろすことで、「城・街・海」が一度に入ってくる体験が得られます。
行程はコンパクトでも、森歩きと石垣景観にじっくり浸れるため、W2 ★★☆としました。

アクセス・駐車場

・車
神戸淡路鳴門自動車道・洲本ICから、国道28号・県道76号線経由で約20分。三熊山中腹の駐車場を利用し、そこから山道を歩いて城域へ向かいます。

・現地状況
2021年8月の豪雨による石垣崩落の影響で、立入禁止エリアや迂回路が設けられています。訪問前に、洲本市や観光協会の最新情報を確認してから計画するのがおすすめです。

現地レポート|ルートと見どころ

なにやら見えます

山城Q
山城Q

霧が掛かり、「噂の天守」は竜宮城のような

ルート的には、駐車場から普通に登ります。

登城道から見える古びた石積み

このへばり付くような石垣の間から見える樹木の感じが最高です。暖帯林は植物の層が厚いので、手を入れないと、石垣との同化がさらに進みそう。岩は、砂岩か泥岩に見えます。

謎なのは、この日は至るところに、ほうきが立て置きされていました。たまたまそういう日だったのか、何か作業があるのか。気になりました。

この巨大礫岩が目につく

この城は、礫岩やさざれ石がちょくちょくあることに気が付きます。

山城Q
山城Q

こんな感じがサイコー

この道すがら、いたるところに石積みが見られ、全体像として把握が難しい。暖帯林との融合がなんとも雰囲気が良いです。

「スダジイの巨木」という木

特に案内板などは無かったのですが、この木の大きさに思わず写真を撮りました。

山城Q
山城Q

かなりの大木!

あとから、これが「スダジイの巨木」だと知りました。雨の直後ですが、植物の勢いが強いのが分かる。市内の城で、樹木と石垣の距離感が近い感じだと、宇和島城が少し似た雰囲気ですね。

これはヤバい 天守下の石垣群

【訪問前の注意】写真は2011年時点
洲本城では、天守下石垣を含む本丸周辺で修復工事が行われており、登城ルートの一部が通行止め・変更となる場合があります。
指定の迂回路を利用し、立入禁止区域には近づかないようご注意ください。特に雨天時は足元が滑りやすくなります。
最新の状況は洲本市・淡路島観光の公式情報をご確認のうえ、安全な登城をお願いします。

登城道の脇から誘われるようにたどり着きました

山城Q
山城Q

ひえ~石垣のラインが崩れている

礫岩で石垣を造っている!これは、相当手が掛かったんじゃないかという印象。

山城Q
山城Q

このさざれ石は、超巨大!

この辺りとか、石の崩れ方を見ると、雨の直後は特に無理しない方がよさそうです。近づき過ぎず、見える範囲で楽しむのが安全。

主郭周辺は、脇坂家の時代のものらしい

明らかに、天守下の石垣とは完成度も造り方も違います。立派です。

これが噂の天守閣

正面から見ると、シャチホコが面白い付き方をしていますね。(あんまり天主には詳しくないです)

この城の概要

洲本城は、兵庫県洲本市三熊山に築かれた山城で、戦国期から近世にかけて脇坂氏・池田氏らが居城とし、淡路島の海上交通要衝として機能した総石垣の城郭です。

上ノ城(山上)と下ノ城(山麓)からなり、天守下の礫岩石垣や主郭周辺の整然とした石垣が特徴で、現在は洲本市街と瀬戸内海を一望できる展望地としても知られています。

日本100名城(No.53)に選定されており、三熊山の暖帯林に包まれた風化した石垣群が、独特の「森と石垣の同化」景観を生み出しています。

地質をみてみる

自然環境

この城は、この「暖帯林」が景観や保存に大きく影響しています。

地形・地質のポイント

洲本城が建つ三熊山一帯は、中央構造線の北側に沿って細長く分布する「和泉層群」に属し、礫岩・砂岩・泥岩を主体とする地帯です(和泉層群:中生代白亜紀後期の堆積物が隆起してできた岩石層)。

引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

この地域の礫岩や砂岩は、風化や割れが出やすいタイプもあると言われますが、城山の斜面には礫岩やさざれ石が豊富に見られ、現地で得られる石材を活用して総石垣を組み上げた姿が今も残っています。

引用元:産総研地質調査総合センター,20万分の1日本シームレス地質図V2(地質図更新日:2022年3月11日) より山城渡りQが加筆・修正したものである (スマホで拡大可能)

暖帯林に覆われた斜面と、石垣の風化・崩落が複雑に絡み合い、「森と石垣が同化した山城景観」がこの城の大きな特徴です。

瀬戸内海を望む独立丘陵の山上に築かれたことで、麓の港町と海の動きが一望でき、防御と見張りの両面で「地の利」を強く感じる立地だったといえます。

昔の人って、どうしてこうも「際」を知っているのでしょうか。

この場所は、「和泉層群(黄色)」という中央構造線の北側にそって細長く分布している中生代白亜紀後期の地層なのです。その幅、おおよそ東西300㎞ 南北15km

この層を東西にたどっていくと、山城の立地や規模にも地域差が出てくるように見えます(※私の実感ベース)。

山城Q
山城Q

地質があまり良くない。

海底が押し上げられて出来た。基本、礫岩、砂岩、泥岩がメインで、場所によっては割れやすさや風化の出方が強い印象です。砂岩で出来た似たような山城としては、佐賀県の岸岳城とかが似ています。

しかし、その一方で、現地で採れる石材が豊富だったことが、総石垣の展開を支えた、という見方もできます。

山城Q
山城Q

地の利を最大限に生かした

なんせか、岩の風化が激しく、割れる。加えて、暖帯林での樹木の樹勢。今、市は必死になって、再整備と石垣の保存に取り組んでいます。

この山城の魅力|3つのポイント

① 体験価値(ウェルネス)
暖帯林に包まれた石垣の間を短い距離だけ歩くだけでも、湿った土の匂いと静けさに触れられます。崩れた石垣や礫岩が混じる足元の景色が、ここが「使われなくなった場所」だという時間感を自然に立ち上げてくれます。

② 遺構の固有性
礫岩の石垣と、斜面に沿う古い石積みが連続し、風化しながら続いていく石垣景観をつくっています。天守下と主郭周辺で積み方や表情が変わり、石垣の「二層構造」が現地で見比べやすい城だと感じました。

③ 景観・地形の固有性
三熊山の斜面から港町・洲本と海の眺めが一度に視界に入り、山・街・海の位置関係がつかみやすい立地です。霧や光の加減によって、同じ眺めでも印象が少しずつ変わるのも面白いところ。

周辺観光・温泉(地域共鳴)

温泉|洲本温泉・古茂江温泉(車で約10〜15分)
洲本城の麓に広がる温泉エリアでは、海辺のホテルで日帰り入浴が可能です。
登城後に海を眺めながら湯に浸かれるのは、この城ならではの組み合わせだと思います。

グルメ|しあわせ島ごはん まどみ(車で約10分)
洲本港近くの落ち着いた食堂で、島野菜中心のやさしい定食が楽しめます。登城後の身体にも負担が少ない、穏やかな食事処です。

歴史資源|洲本八幡神社(徒歩約15分)
洲本城の鎮守として親しまれてきた神社で、境内のクスノキと静かな空気が印象的。「海・山・城・社」を一日で巡る締めくくりの立ち寄りスポットです。

【免責】

本記事は、現地での観察メモをもとに整理し、筆者なりの解釈を加えた記録です。史実の正確性を保証するものではありません。また、整備状況・所要時間・交通手段・施設情報等は変更される可能性がありますので、訪問の際は必ず最新情報をご確認ください。

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