基本情報
形態:山城
史跡指定:国の指定史跡
標高:171m
城の整備:登山道あり
所要時間:1時間
訪問日:2020.02
駐車場 アクセス
地質を確認
高知や愛媛の地形で、特徴的なのは「付加体」。この黄色い部分です。
この四国地方は、主に海洋プレートが大陸プレートに沈み込む環境で形成されており、世界でも非常にまれな複雑な地質の地域である。
国立研究開発法人産業技術総合研究所 四国に残された日本列島5億年の歴史 -20万分の1地質図幅「高知」(第2版)-
特に、この沈み込み帯では、地下浅部で付加体が、地下深部では変成岩や深成岩が、さらに表層では浅海成層とマグマの噴出による火山岩が形成される
ということになります。岡豊城の項でも紹介しましたが、地下の話ですが、海洋プレートは、海洋地殻とその下のマントルの一部からなります。
海洋地殻は、海嶺で噴出した玄武岩溶岩の上に、深海堆積物や海山を載せています。これらの一部は海洋プレートが沈み込むときに、海溝にたまった土砂とともに大陸側に押しつけられ、はぎ取られてしまいます。これを付加作用といい、はぎ取られた地質体を「付加体」といいます。
ですので、太平洋側が新しく大陸側が古いということになります。
ここ、河後森城もそのど真ん中にあるのが見て取れます。はぎ取られた地質なのでゴチャゴチャになっているようで、礫や砂が混ざった地質であるようです。
しかし、国土地理院図で確認すると、この山城の堅城さが理解できます。広見川、堀切川・鰯川の三つの川に囲まれた独立丘陵。最高所の本郭を中心として、馬蹄形に曲輪が展開しています。
熊本の田中城、岐阜の廣瀬城のような感じ
縄張り図
確かに馬蹄の形になっている。しかも、曲輪がいくつもある。この辺りとしては、珍しい気がします。また、逆に高知に多い竪堀を多用した畝状竪堀がないという点も気になります。
城域に入る
仕掛け
駐車場からすぐに入口です。何も考えずにここに来た時点で
ハイ、終了!
何も知らずに入ってくる敵はいないと思いますが、見事な
キルゾーン
になってます。三方がから撃たれます。これが馬蹄形上の特徴。
井戸がありますが、こんな井戸を見ている間に三方から撃たれます。
西曲輪の冠木門
第十曲輪
名前の通り、このお城は、どんどん増設されていった様子。本城、古城、新城と存在し、この場所は、周辺を土塁に囲まれた第十番目の曲輪です。
復元でしょうが、土塁が美しい。外側に向けて作られております。場所的にも非常に重要拠点。
馬小屋だったということでしょうか。
こういう演出もあり
第十曲輪の両端に翼にような付け曲輪があります。凝った造り。
堀切通路
本郭の西隣にある西第二曲輪と第三曲輪の間に切り立った堀切があったとのこと。この角度は急です。そういえば、これによく似た堀切を石川県の鳥越城でも見ました。あそこも急な角度でした。
本城
主殿舎、台所、番小屋などがあったとのこと。景色は最高。
本城主郭下の石垣。破却されているのか、崩れているのか。土地柄、まとまった石が取れない切実な感じが伝わります。
遠望
標高は低くても、これだけ遮るものがなく見えれば、問題はなし。こちらも特徴的な山が多いですね
本城からみた馬蹄側
新城が良く見えます。あちらはあちらで立派な平坦地が確認できます。
西第十曲輪の馬小屋。ここも展望がきくように木が伐採されているように感じます。なかなか、これだけ整備された山城も少ないのではないでしょうか。
古城の方へ
際際の道を下っていきます。
冠木門
東第四曲輪と古城第二曲輪の間に設けられた門跡。西側と同じようなパターンですね。
古城
標高は153m。建物跡9棟、石打棚1基などなどが見つかっているとのこと。
新城
木の種類が変わり、急に雰囲気が変わります。一瞬、高原を歩いているかのような錯覚。
すると、この切岸の高さです。帯曲輪もしっかりしており、明らかに本城、古城とは作り方が違います。
本城の主郭部。かなりの広さがあり、確かに作り方が新しい。どれだけの建物が建っていたのでしょうか。
先ほどとは、逆に西第十曲輪、本城を眺めます。
気づき
河後森城は、丘陵を段階に分けて、作り込まれており、この辺りでも珍しい山城でした。整備も行き届いており、当日は、他の観光客もたくさんおられました。また、この本城と古城と新城にそれぞれ誰が守っていたのかが気になりました。
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