山城ACTレベル:初級 ★☆☆ 山城Wレベル:W3 ★★★
(ガイドツアー専用ルート 個人登城は禁止)

【注意】現在は、利神城ガイドツアーでのみ登城可能
一般登城は全面禁止されていますのでご注意を
この山城の魅力|3つのポイント
① 体験価値(ウェルネス)
石垣の崩落痕が見せる“無垢な地肌”が、時代の気配を静かに伝え、歩くほどに心が落ち着く。
砂地の尾根に立つと、場の空気が変わり、時間が少しだけゆっくり流れる感覚が訪れる。
② 遺構の固有要素(2行)
総石垣の名残と、孕み出しが進行した虎口の“臨界感”。
天守丸周辺の積み方の違いが、城郭の二層構造を際立たせる。
③ 景観・地形の固有性(2行)
砂地の露出する急傾斜と尾根上の段々構造が、利神城の危うさと魅力を同時に見せる。
麓から主郭を望むと、竹田城に似た“天空感”が強く感じられる。
現地レポート|ルートと見どころ
道の駅ひらふく から主郭を眺める

はっきり見えます。雰囲気的には、竹田城に似ています。ここにかつて、総石垣の山城があったなら、威容は凄かったでしょうね。
登城します(2011年4月時点)

道は概ね一本道です。

途中にアヅマヤがあります。

リスなんかも居たりします。クマよりはマシでしょう。
古墳跡を過ぎて


何やら古墳がありますね。内部に木組みもあります。手前には賽銭箱?


やがて馬場へ

ちょっとした木陰を抜けるのですが、ここが滑る滑る。


うわ~~これは。。。(閉口)
馬場へ到着。馬場から主郭部を望む


城割があった以外にも、かなり崩落しているように見えます。
二の丸東区跡まで近づく


特に主郭下の法面では砂地が露出しています。良く見ると右上などは、砂地に石組を組んでいるように見えます。もともとあまり適さないのかもしれません。いつ崩れてくるか分からず非常に危ない。
三の丸方面(望遠)


立派な総石垣。しかし、ラインが歪んでおり、今にも崩れそう。野面積みに見えるため、このような不安定な場所では野面積みも、あまり適さないのかもしれません
本来の登城道から三の丸に至る

近づけないので、望遠で撮影しましたが、これは崩れるのは時間の問題だと思いました。


大坂丸方面

何がキッカケで崩壊するか分かりません。これ以上、危なくて近づけません。
天守丸へ


天守丸付近に来ると、若干、石垣の積み方が違う気がしました。そこで、調べてみますと、

このような資料が見つかりました。
天守丸周辺は、「天正期頃の特徴をもつ石垣」の特徴
それ以外は、「慶長期頃の特徴を持つ石垣」の特徴
とのこと。

隙間や大きさが違います。
天守丸からの眺望

山頂あるあるの壊れた有料望遠鏡。当然、使うことはできない。

瓦が大量に散乱しております。ここに三重天守閣が実在したのなら、相当に風を受けたのではないかと。


雅丸横の虎口

ここはヤバいですね
見事な虎口です。


しかし、正面写真だと分かりづらいですが、かなりの「孕み出し」で崩壊寸前と思います。


内側から押し出されるように膨張拡大しています。もはやギリギリ。弾け出る一歩手前のように見えます。

危ないので、さっさと下山しました。
アクセス・駐車場
・駐車場は麓の「道の駅ひらふく」が基点として便利。
・公共交通は佐用駅からバス利用。
・現在は個人登城不可のため、佐用町公式のガイドツアーに申し込み必須。
(詳細は公式ページ参照)
この城の概要
利神城は、尾根上に築かれた総石垣の山城で、天守丸周辺に天正期の積み方、その他に慶長期の積み方が残る。
三重天守があったとされるが、現在は崩落が進み、危険区域が多く個人での立ち入りは禁止されている。
山城ACTレベルと山城Wレベル
山城ACTレベル:初級 ★☆☆
山城Wレベル:W3 ★★★
山城ACTレベルの設定理由
標高差は大きくなく、登城ルートは単純な一本で迷いにくい構造です。歩行自体は軽めで、負荷としては初級レベルに収まります。ただし崩落箇所が多く、個人登城は禁止されているためガイド同行が前提となります。
山城Wレベルの設定理由
砂地の斜面と総石垣がつくる切迫した地形が、場の空気を大きく変えます。曲輪まわりの石垣帯は緊張感が高く、視界と意識が一気に引き込まれます。歩行負荷は軽めでも、全体の没入度は深くW3と判断しました。
主なルート
道の駅ひらふく〜登城口〜馬場〜主郭部(往復2〜3時間・ガイド行程準拠)
累積標高差は小さく、ゆっくり歩いても半日あれば見学まで完結します。
地形の特徴
砂質の急斜面と総石垣が連続し、縁部の崩落が多い不安定な構造。
注意点
孕み出し石垣や崩落斜面など立入禁止箇所が非常に多く、個人登城は不可です。
一言補足
体力度はやさしくても危険度が高いため、ツアー参加が最も安心です。
ツアーガイド企画で登城しましょう
この利神城は、廃城でも、リアルに危険な部類に入ります。砂地の露出で今後どうなるか予想できます。見てみたい気持ちをクスグラレル場所や角度が多いですが、土塁だけならまだしも、危険な石垣を含むとなると話は別です。
現在では、個人では登城することができないようですので、「ツアーガイド」など、集団で登城することをお勧めします。個人登城では万が一が「あり得る」山城でした。(実際にドクターヘリ案件があったようです。)
地形・地質のポイント
利神城は、総石垣でした。総石垣となると、どこから石垣を調達したのかが気になります。


地質を調べると、なかなか興味深いことが分かりました。
この辺りは、花崗岩層は見当たらず。利神城がある場所だけ、安山岩・玄武岩層(茶色)を中心に周辺に流紋岩層(ピンク)があります。だから、総石垣造りも可能だったのかもしれません。
具体的には、安山岩質凝灰岩(通称西山石)と流紋岩質凝灰岩(通称東山石)となります。
→ 谷を見下ろす独立尾根と、石材の採集容易性が“総石垣の巨大化”を可能にした。
周辺観光・温泉(地域共鳴)
温泉(web検索)
・「佐用の湯」:落ち着いた雰囲気で、中高年にも向くシンプルな浴場が魅力。
グルメ
・「道の駅ひらふく」:地元の素朴な定食が揃い、登城前後の軽食にちょうど良い。
名所
・「平福宿場町」:利神城の山麓に広がる宿場町で、川沿いの町並みが美しい。
まとめ
利神城は歩行そのものは易しいが、脆弱な地形・崩落箇所が多く、ガイドツアー以外では登れない特別な山城。
尾根上の段々構造と総石垣の名残は、歩くたびに“時間を超える感覚”を呼び起こしてくれる。
最も印象的なのは、馬場から見上げる主郭の“臨界の石垣線”。
主な出典
- 佐用町公式サイト「史跡利神城跡」
- 佐用町観光協会「利神城ガイドツアー」関連資料
- 産総研 地質調査総合センター「20万分の1日本シームレス地質図V2」
- 『史跡利神城跡 保存活用計画(案)』兵庫県佐用町教育委員会
免責
本記事は個人的な体験・調査に基づくものであり、歴史や効果を断定するものではありません。訪問時は最新情報をご確認ください。






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